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「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展」兵庫県立美術館

1_3     映画美術監督 種田陽平の展覧会が兵庫県立美術館で開催された。美術館で映画美術やアニメの背景などを展示する、という傾向はごく最近のことのように思う。私はアニメや、映画にさえも疎いのだが、ともかく鑑賞してみようと出かけた。
  人気アニメに関わる展覧会ということ、そして夏休みの最中ということで、会場は子供たちで賑わっている。入場すると、そこはアニメ「借りぐらしのアリエッティ」の背景装置の巨大なインスタレーションである。ほんとうは30センチメートルくらいの草花が、ここでは大人の背丈に近い大きさに造られていて、会場にいるわれわれ鑑賞者が、自分が小人になったときを体感できるように工夫されている。小人の少女アリエッティの家族が、床下にひっそりと暮らす住居や周辺の自然が人工的に構成されているのである。インスタレーションは、単に大きいこと、美しいことだけでなく、草花の部分的な枯れ葉やコンクリート壁の表面の荒れ、キルトの毛布の端の乱れなど、実に細かいところに注意が払われ、精密に再現されてリアルさを実現している。ほんとうに細やかな配慮が払われていることに感動する。

インスタレーションの展示室を抜けると、今度は種田陽平が関わった映画の背景に関する展示が続く。1990年代後半から、種田陽平は世界的に注目される映画美術監督として、国内だけでなく海外の映画監督からも招聘されて、多数の名作に関わっている。「キル・ビル」ではタランティーノ監督と組んで、中国で日本の幻想的な屋敷を舞台セットとして構成し、主人公が決闘する重要な場を提供した。その下絵と実際に導入されたセットの写真とが、並べて展示されている。「フラガール」では、まだ貧しかった、しかし活気に満ちた1960年代の地方庶民の住み処を再現した。「悪人」では、現実に存在しそうで実は主人公の内面を反映する、幻想と現実の混交した特異な空間としてのラブホテルを創造した。
  同じ美術館で2年ほど前に開催された男鹿和雄展のときにも、同じことを思ったが、アニメや映画の背景に、これだけの智恵・カネ・手間をかけているという事実にまず驚いた。アニメでも映画でも、われわれはつい登場人物とストーリーに注目して、背景はさほど気に留めないのだが、実はこうした緻密で丁寧な背景が、重要で隠然とした効果を与える要素となっていたのである。日本の映画やアニメが世界的にも高い評価を受けるひとつの重要な要素に、この背景の、縁の下の力持ちのレベルの高さがあることに、改めて思い至った。4_2
  私自身は、映画にも、そしてましてやアニメにも、ごく疎い野暮な人間であるが、こうした展示を鑑賞したお蔭で、是非これから展示に関わっていた映画作品を見て、背景にもよく注意して鑑賞してみようと思った。

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