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酒井抱一展 姫路市立美術館 (2)

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  抱一はまた、光琳にならって多くの豪華な螺鈿の作品をも残している。螺鈿工芸家 原羊遊斎と組んで、螺鈿漆器の下絵を抱一が描いた作品として、印籠、茶箱、盆、櫛など多様な工芸品が展示されている。

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  抱一は、晩年には光琳への傾倒も落ち着いて、独自の成熟を達成して、しっとりした美しい絵を描くようになった。江戸琳派創始者としての抱一の作品も刺激的で魅力的だが、晩年の落ち着いた作品郡も、なかなか心ひかれるものがある。「月に秋草図屏風」などは、黒っぽく素朴に描かれた秋の半月に照らされた秋草が、現代絵画のモンドリアンの抽象画のリズムを感じさせるようなタッチで描かれていて、時代を越えた新しさがある。

  また、花鳥風月を描いた作品郡も、最高級の画材が洗練された描写力で生かされ、上品で静かな華やかさがある。
おもしろい作品として、帯状に並べて貼った薄い板の上にうっすらと銀箔を施し、そのうえに秋の強風に耐える秋草を描いた「兎に秋草図」がある。台地の板の帯が斜めに画面を横切るのを、強風の表現に巧みに取り入れた巧妙な構成の絵である。

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  抱一は、自ら多くの優れた作品を残すだけでなく、江戸琳派の創始者として、多数の門人を育成した。
酒井家の家臣として若いころから抱一に付き人として仕え、画業の助手をもつとめた鈴木蠣潭 (れいたん) は、26歳の若さで死んだので、10点ほどしか作品は残っていないというが、展示されている「山水図屏風」などを見ると、その精密で豪華で端麗な絵は、高度な技能と表現力を感じさせる。
  鈴木蠣潭が早世したので、その養子となり鈴木家を継いだのが鈴木其一であった。元は姫路藩酒井家の家臣であった鈴木家は、以後芸術の家に変遷していったようだ。江戸琳派は、代々の鈴木家に受け継がれ、明治期の鈴木唯一まで続いた。鈴木其一が、宗達・光琳を経て、師匠の酒井抱一まで作品を残した「風神・雷神」を襖絵として残している。色彩は金銀の豪華さを抑え、しっとりとした地味で精緻な作品となっている。全体としてすっきりした別の魅力が感じられる。「芒夜図屏風」は、薄い銀地に墨でリズミカルにススキを繰り返して描いた作品で、現代にも通じる新鮮さがある。「朴に尾長鳥図」は、たらし込みという技法を駆使して、微妙なタッチを生かした高い技能を誇る絵である。
  鈴木其一以後の江戸琳派の画家たちの絵も多数展示されている。それぞれに  なかなか見応えがあるよい絵だとは思うが、ひとつには高価・最高級の画材の寄与もあるのか、やはり酒井抱一の作品郡が一歩抜きんでて魅力があるように感じた。酒井抱一の絵には、裕福な暮らしからくる大きな精神的余裕にもとづくのか、すっきりした上品さと、その性格からくるのか正確で丁寧な描写に、そこはかとない深い魅力がある。
  全体で340点にもおよぶ多数の作品が展示されていて、3時間を費やしてもまだ少し時間が足りないように感じるほどであった。さすがに鑑賞後は大きな疲労感があったが、私としてはこれまでごく部分的にしか知らなかった酒井抱一という芸術家に、じっくり親しめたのは大きな収穫であった。

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