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大エルミタージュ美術館展 京都市美術館 (2)

  17世紀は、バロックの時代であった。均衡と調和を基調とするルネサンスの古典主義に対して、流動的でダイナミックな表現を導入した、インパクトの大きい芸術表現の出現した時代であった。この時代では、とくにオランダとフランドル(現在のベルギー付近) の活動が注目される。
Photo  ペーテル・パウル・ルーベンスの「虹のある風景」(1632-35) がある。農作業のあと、あるいは余暇の時間に寛ぐ庶民の男女たちを前景に描き、遠景には市街地や長閑な美しい自然の風景が広がる。しかし空にかかる虹が暗示するように、そのような理想郷は儚い幻想・夢でしかない、という寓意である。人物、樹木や土などの自然、そして空など、写実は冴え渡り、引き締まった画面を構成している。さすが巨匠、という感じがする。
  フランドル出身で、イタリアでも活躍した代表的宮廷画家 ヴァン・ダイクの「自画像」(1622) がある。Photo_2
普通、自画像は椅子にゆったり坐ったり、仕事をしているところなどの絵が多く、とくに「描かれている」という自我意識を全面に出さないと思うが、この自画像は、得意満面に描かれる自分を意識して、精一杯の自己主張のポーズをとっている、特異なケースと言えるだろう。描かれたとおり、優雅なルックスにも恵まれ、絵画の技能にも優れたヴァン・ダイクは、現世の大きな成功を獲得して40歳あまりで早世したが、その太く短い生涯を象徴しているように思える。
  「花飾りに囲まれた幼児キリストと洗礼者ヨハネ」(1650年代後半) も印象深い絵である。この絵は、画面中央付近にともに幼児のキリストと洗礼者ヨハネが描かれている。キリストは美しい薔薇の冠をつけている。この二人の人物のまわりには、美しい多様な色彩の薔薇が多数描かれて、画面に華やかさを添えている。この絵は、人物をトマス・ウィレボルツ・ボスハールトが、花をダニエル・セーヘルスが、それぞれ分担して共同作業で描いた作品である、という説明がある。一見長閑な美しい絵のようだが、実は幼子のキリストのつけた薔薇の冠は、いずれ茨の冠となってキリストを苦しめ、周囲を取り囲む薔薇の花も、キリストの以後の多難な生涯を暗示するものである、という。
  ウィレム・クラースゾーン・ヘダ「蟹のある食卓」(1648) は、料理としての蟹、ワインとそのグラス、複数の金属の器など、豊かな食卓を精密に描いた静物画である。交易で豊かになったオランダ市民は、宗教画だけに飽き足らず、このような美しい静物画を好んだので、そのニーズに応えてこのような静物画が、この時代には多作された、という。器やボトルの金属の光沢、グラスの透明感と光沢、蟹の色艶、など、油彩による写実の技能はこのころすでに完成されたと思われる見事な筆致である。

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