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「フィンランド くらしとデザイン」展 兵庫県立美術館(3)

Photo   フィンランドの芸術としては、絵画の外に建築・デザインの分野がある。ここでの巨匠としては、まずエリエル・サーリネンとアルヴァ・アアルトがあげられる。
  エリエル・サーリネン(1873-1950) は、フィンランド近代を代表する建築家・都市計画家・デザイナーである。さらに、人生の後半をアメリカに過ごし、息子のエーロ・サーリネンはアメリカを代表する建築家となった。パリ万国博覧会(1900) のフィンランド・パヴィリオンを設計して、高い評価を受け、一躍世界的に高名となった。「カレワラ」の精神を基調として国民的ロマン主義の作風で建築を設計した。代表作のひとつが「ヘルシンキ中央駅」(1910) である。そのころに設計した「試作椅子 コティ」(1903) が展示されている。木製であることを強調した、国民的ロマン主義にもとづくデザインである。Photo_3
  やがて国民的ロマン主義から距離をおいて、ゴシック風を連想させる上層ほど細くなる独特の高層ビルを設計するようになり、それまで箱型が普及していたアメリカの建築界に対しても大きな衝撃を与えた。サーリネンは、公園、記念碑、庁舎、文化施設など、さまざまな高層ビル、低層ビルを創作した。1923年からはアメリカに移住し、ミシガンで活動を続けた。
  アルヴァ・アアルト(1898-1976) も、フィンランドの代表的な建築家・都市計画家・デザイナーである。とくに家具や日用品の現代的デザインで世界的に高名である。モダニズムを人間的・人間工学的に取り入れた、美しく・機能的で・シンプルなデザインは、現在にいたるPhoto_4 まで長い時間を経ても、世界的に人気が高い。展示品として、多様で多数の椅子がある。彼自身がコンペで優勝して設計を担当したバイミオ・サナトリウムのために設計した「アームチェア」(1932) は、私もなんどもさまざまな場所で実物を見たことがある、親しみのある機能的なデザインである。この他にも、照明器具や机などの家具・テキスタイル小物などの多様な作品が展示されている。
  カイ・フランク(1911-1989) は、20世紀フィンランドの代表的デザイナーである。多くの実用的・量産対応の家具・工芸品・ガラス器・陶磁器のデザインを創作している。我々がデパートの店頭で目にする機会もある、世界的に普及したものがたくさんある。ここでは、シンプルで機能的な食器の例が展示されている。Photo_5
  マイヤ・イソラ(1927-2001) は、20世紀の代表的デザイナーのひとりであり、とくにテキスタイルのためのさまざまな文様のデザインで有名である。フィンランド人らしく、自然を重要なモチーフとした大胆なデザインは、とてもモダンで明るい。ここでは、多様で多数の繰り返し模様が展示されている。テンペラ画と油彩画の画家としても活動した彼女は、デザインを絵筆で丁寧に正確に描き、ぴったり繰り返し模様として構成する。さまざまな自然の造形をモチーフとするが、とくに花柄をもちいたデザインは、彼女のヒット作品となった。
  今回の展示では、こうしたフィンランドの芸術家の作品だけでなく、彼らが生活した住宅や別荘の写真が併せて展示されている。これら別荘などの建物が、これまた美しいのである。フィンランドは人口が数百万人しかいないはずなのに、こうして芸術家が豊かな生活を送ることができるという事実に、あらためて感銘を受けた。少なくともこの国の国民の多数が、芸術・美術に対して関心と需要を提供している、ということは、その必要条件としてあるのだろう。

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