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曾我蕭白の世界 ボストン美術館展 大阪市立美術館(5)

Photo  展覧会最後のコーナーは、ボストン美術館の日本美術部のひとつのトピックである曾我蕭白(そが しょうはく) の特集展示である。
  曾我蕭白は、享保年間に京都の破産した商家に生まれ、生計を立てるために医師になろうとしたが、絵への執着を断ち切れず、奇矯な変人として独自の画業を積み上げ、多数の優れた作品を残した。世は田沼時代、新しい文化を積極的に受け入れる時代となっていた。
   「虎渓三笑図屏風」が展示されている。廬山に隠棲した東晋の僧慧遠(えおん) を、儒者陶淵明と、道教の陸修静(りくしゅうせい)とが訪れた。懐かしく尽きぬ話に夢中になった慧遠が、俗世に通ずるとして決して渡らぬと決めていた橋を、思わず越えてしまっていたことに気付いて、3人で大笑した、というシーンである。仏教・儒教・道教をそれぞれ慧遠・陶淵明・陸修静で代表させるというコンセプトは宋代の中国以来普及したものであったらしい。気難しいとされる蕭白だが、こうしたほんのりした絵画も残している。
  そして展覧会の最後を飾るのが、蕭白30歳代の壮年期に創作したと伝える「雲龍図」である。

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  この作品は、ながらくボストン美術館の倉庫に、紙幅をまるめてしまい込まれたままとなっていたが、ごく最近、優れた修復技術者の努力によって、8面の襖絵として修復されて、今回の展覧会ではじめて公開されたものであるという。8面の襖絵だが、ほんとうは龍の頭部と尻尾の間に、胴体の部分があったのだろう、と推測されている。この8面だけで十分大作であり、内容も濃いが、それにしても、墨の一色だけでこれだけのすばらしい表現を達成したことに感嘆するばかりである。近付いて筆致鋭く力強いことを感じ、離れて大胆な構図と龍の雄々しい表現に感動する。
  明治時代の最初期は、廃仏毀釈が吹き荒れ、転換期の政治・経済の混乱もあり、多数の仏教美術を中心とする伝統美術作品が存続の危機にあった。それを救う目的で、東京や京都に国立博物館が創設されたりしたが、そんな混乱のなか、比較的状態の良好な作品郡は、その多くがいちはやく欧米に買い取られ、蒐集されたようである。今回展示されていた作品郡も、同じ時代の作品郡のなかでは、相対的に保存状態がより良好であるように思えた。
  今回の展覧会は、全作品数が70程度と、特段に多いわけではなかったが、ひとつひとつがとても重い、見応えのある作品ばかりであり、鑑賞にはずいぶん時間がかかり、見終わるとぐったりとしたが、とても快い感覚が残った。

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