17~18世紀の古典主義・ロココ プーシキン美術館展(2)
最初のコーナーは、古典主義とロココである。
17世紀古典主義を代表する画家として、ここではニコラ・プッサンが紹介されている。「アモリびとを打ち破るヨシュア」(1624-25ころ) が展示されている。
モーセの後継者である英雄ヨシュアが、アモリびと(アムール人) と戦う場面を描いている。太陽と月の動きを停止させたというヨシュアの伝説にしたがい、画面右手は月がある夜、左手は太陽がある昼、として画面構成されている。この絵は、エカチェリーナ2世によりロシアに持ち込まれたとされている。
クロード・ロラン「アポロとマルシュアスのいる風景」(1639ころ) がある。牧神マルシュアスはアポロンと音楽で競って敗れ、大きな木に吊るされて生きながら皮を剥がれるという伝説を描いている。悲惨な物語だが、背景の風景は画家が考える理想的な風景画となっているのが特徴である。やはり古典主義の代表的画家であったロランは、こうした理想的で観念的な風景と神話とを組み合わせた題材の作品を多作したという。ジャン・フランソワ・ド・ドロワ「スザンナと長老たち」(1715) は、ユダヤ人の美しい人妻スザンナが沐浴するときを狙って、好色な長老2人がスザンナに迫り、スザンナが懸命に拒否している場面を描いている。スザンナは、ユダヤの伝説的な「貞淑・理想の妻」像であるという。
ロココ絵画としては、カルル・ヴァン・ロー「ユノ」(1736) がある。ユピテルの妻ユノがキューピットと寛ぐ姿を描いている。ユノの若々しく美しい素肌が優美に描かれる。フランソワ・プーシェ「ユピテルとカリスト」(1744) も同じように、美しい輝くような人体を描くロココの代表的な作品であるとされる。古典主義やロココ絵画では、明るさのアクセントで光を強調し、人の肌の輝きや表情を筆跡なくきわめてなめらかに美しく表現する技術が磨かれている。この時代、絵画の主要なスポンサーは王侯・貴族たちであった。
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