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20世紀のフォービスム、キュビスム、エコール・ド・パリ プーシキン美術館展 (6)

  20世紀になると、写真技術が発展・普及したこともあり、絵画は改めてそのレーゾン・デートルを問われることになり、新しい前進が強く求められた。絵画表現に画家の思考・思索がより大きく介入することになり、フォービスム、キュビスム、エコール・ド・パリなどの革新運動がつぎつぎに起こった。Photo
  フォービスムの代表としてアンリ・マティス「カラー、アイリス、ミモザ」(1913) がある。カラー(海芋)の白色、アイリスの紺色、ミモザの黄色を主役に、背景中央の大胆なピンク、画面中央下方の緑、花瓶敷の紺の模様、部屋の壁の大胆な配色、など、どれも度肝を抜かれるような大胆さと意外さに満ちていて、魔術的な魅力がある。
  パブロ・ピカソ「マジョルカ島の女」(1905) は、ピカソ初期の青の時代を過ぎたバラ色の時代に属する作品だが、ここでは青の時代の余韻が残る表現で、さりげなく、しかもとても美しく女性を描いている。ピカソの卓越した描写能力を示す作品でもある。
  アンリ・ルソー「詩人に霊感を与えるミューズ」(1909) は、税務署に勤務する日曜画家であったルソーが、親友の詩人アポリネールと女流画家マリー・ローランサンのカップルに贈呈した絵である。深い森林のなかで、詩人アポリネールは右手に羽ペンをもって登場し、その横には詩人にインスピレーションを与える女神としてマリー・ローランサンがどっしりと描かれる。いずれも寸胴の人物は、ルソーの美的主張を表すものとされている。正規の美術学校で絵画を学ばなかったがための、独創的な構図・描写である、とも評価されている。Photo_2
  最後に登場するのが、マルク・シャガール「ノクターン」(1947) である。懐かしい故郷の風景のなかに、すでに病死した妻が赤い馬に乗って飛翔する幻想的なテーマの作品である。樹木や馬を鮮烈な赤色で描き、妻のドレスの一部に緑色を導入し、画面全体が夢の世界のような幻想的な、ある意味荒唐無稽のようでもありながら、全体として観るものに強く迫るやさしさ、迫力、主張がある。このような思いがけない着想と表現ができるのは、まさに天才なのだろう。
  平日なのでゆっくりのんびり鑑賞できるものと思って出かけたのだが、実際には予想以上に多数の観衆で混雑しており、この展覧会の高い人気がうかがえた。全体で70点程度の標準的な展示だが、それぞれの作品が印象深く、2時間以上の鑑賞でもまだ不消化のような気持ちが残った。こうして300年間にわたってフランス絵画を概観すると、それぞれの時代の作品の特徴・良さを改めて認識することができる。
  フランス絵画をロシアの美術館のコレクションで鑑賞する、というのも、いささか奇妙で皮肉な気持ちもするが、これまでのフランス絵画がいかに世界的に評価されてきたか、ということの証左でもあろう。充実した鑑賞のひとときであった。

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