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春立ちぬ

  私は百人一首さえろくに知らない不束者だが、紀貫之が「春たちける日よめる」とした「袖ひちて むすびし水の こほれるを 春立つけふの 風やとくらむ」という和歌を覚えている。昨年の春、暖かな日差しの下で袖をまくって水をすくったが、やがて暑い夏も過ぎて冬となって水も凍りついていたけれども、その寒い冬もようやく過ぎて、今日立春の日に凍った水を溶かすような暖かい風を感じる、というような内容の歌だが、理科系学生で風流に無縁であった私にさえも、不思議に印象に残っている。わずか31文字の短い歌のなかにみごとに1年間の季節の変化を読み込んだ歌である、と高校時代に先生から教えられた記憶がある。
  現役を引退し市井の一老人となった今、私にとってこの歌は、歌の短さと、一年間の季節の移ろいの速さとの組み合わせが、この歌が与える印象を実に的確に響かせるように思えるのである。私にとって、月日の経つのが速いことをもっとも的確に表現していると感じる歌なのである。
  現役の仕事を引退したら、時間が山のようにあって、月日の経つのがゆっくり感じられるようになるのだろう、と勝手に想像していたが、感覚的には時間の経過はますます速くなっている。貝原益軒の『養生訓』にある「老後は若きときより月日の速きこと十倍なれば、一日を十日とし、十日を百日とし、一月を一年とし、喜楽してあだに日を暮らすべからず」ということばが、身に沁みるようになった。
  現在65歳だが、できればあと20年くらいは健康で暮らしたいと願う。しかし加齢は着実に自分の身体に変化を加えつつあることも自覚している。改めて、こうして平凡に日常を過ごせることが、実はとてもありがたいことだと思う。幸いにしてここまで生き長らえてきた、生きさせていただいたのだから、せいぜい命と日々の生活を大切にして、与えてもらった命を、その生活を、自分なりに有意義に過ごしたい、と素直におもうのである。

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