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崇高な風景画を目指して ターナー展 (2)

  風景画の地位を上げるために、彼は「崇高」という概念を重視して、崇高な要素・印象を自らの風景画に与えようとした。彼は、やはりイギリスの哲学者・政治家であったエドマンド・バークの『崇高と美の概念の起源』に影響を受けたとされている。エドマンド・バークは、近代保守主義の思想家として有名であるが、このように芸術においても影響力があったということは、私は初めて知った。
  「バターミヤ湖、クロマックウォーターの一部、カンバーランド、にわか雨」(1798) では、虹の光を印象的に表現している。景観の存在感・重さと、光の表現および描写には、細心の注意と工夫が込められていることが私のような素人にもよくわかる。
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  やはり風景画の地位向上のために、彼は歴史画の要素を取り入れる努力もしている。「ディドとアエネアス」(1805ころ) は、ローマ神話から題材をとった作品である。トロイヤ戦争のトロイヤの英雄アエアネスは、トロイヤが滅亡したのちイタリア半島に逃れて、後のローマ建国の祖となった人物とされる。アエアネスがカルタゴの女王であったディドと恋に落ち愛し合うものの、ローマ建国の使命のために別離にいたる、という悲劇を作品の題材にしている。登場する人物についても丁寧に描かれているが、やはりターナーが渾身の力をいれている部分は、人物ではなくその背景たる風景の方である。より有利なパトロンを獲得しようと、イギリスの摂政王太子に献上した「イングランド リッチモンド・ヒル、プリンス・リージェントの誕生日」(1819) は、摂政王太子に対する顕彰のための作品であり、その意味では人物こそ重要なはずであるにも関わらず、それぞれの人物はかなりパターン化された平凡な表現にとどまるのに対して、樹木の細部の描写など、背景の景色の描き込みは、画家の強い意気込みがひしひしと感じられる迫力あるものとなっている。
  ターナーは、22歳のとき初めて「月光、ミルバンクより眺めた習作」(1797) を油彩で描いている。カンバスではなく板の上に油彩を描いたもので、油絵具の厚みがごく薄く、水彩のような質感で描かれているのが特徴である。以後も、彼の油彩画は基本的にはこの特徴が貫かれているように思う。しかし、表現の目的によっては、特別に彼も厚い油彩を描くことがある。「グリゾン州の雪崩」(1810) では、雪崩の雪の重さと、吹きすさぶ風の強烈さを表すために、敢えて厚塗りの油彩が用いられている。

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