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民主主義の課題と行方

 「これまでも多くの政治体制が試みられてきたし、またこれからも過ちと悲哀に満ちたこの世界中で試みられていくだろう。民主制が完全で賢明であると見せかけることは誰にもできない。実際のところ、民主制は最悪の政治形態ということができる。これまで試みられてきた民主制以外のあらゆる政治形態を除けばだが」。これは、さきの大戦後の1947年に英国下院で行ったウインストン・チャーチルの演説であり、名言とされる一節である。
  ごく最近でも、この重大で解決困難な課題を見せつけられる事態が絶えない。なぜ「民主制は最悪の政治形態」なのか? 私なりにこれを考えてみる。
  民主主義は、選挙を通じて「民意」を政権の選択・委任を通じて政策に反映することができる、とされる。ここで「民意」なるものの本質が基本的な問題となる。「民意」とされるものの本質が、実は「政策」ではなく、民の単なる「希望」に過ぎない、ということである。「このようなことが実現できたらいいな」ということは表明されるが、それを実現するための「プロセス」については、ほとんど無頓着なことが通常である。
 現実の政治では、あるひとつの要望を実現しようとすると、別の要望を抑制せざる得ないことが通常である。さまざまな民の要望を同時・並行に実現することができる、という環境は現実世界にほとんど存在しない。もしそうなら、専門家としての政治家など不必要である。現実の政治の課題は、相反する利益相互間の妥協・調整の積み重ねとなる。
  そういう状況の下、実現不可能なさまざまな「要望」「希望」が「民意」となる。民主主義のルールは、このような「民意」を「票数」で政治に影響を与える。その結果、国民の「民意」である「要望」「希望」に対して、政治家は「票を獲得したい」がために、政策の実現性を真剣に顧みず寄り添おうとする傾向が発生する。これこそが「ポピュリズム」である。
  「民主主義」において、政治家は票を獲得することでようやく存在できるがために、「票を獲得」することが常に優先される。このため、具体的な政策を通じてそれが実現されるか否かの真剣な考察を飛び越えて、国民の「民意」、つまり「要望」「希望」を重視せざるをえない、という誘惑が常に存在する。その結果、国民すなわち有権者の「無責任」が政治家の「無責任」として展開することになる。
  あるべき姿は、国民の「要望=民意」を実現するために、政治家が政治のプロフェショナルとして、有効で有益な「政策」を具体化し検討し、その実現のためにいかなるコスト(=その実現のために犠牲とならざるをえない別の要望事項への影響)をきちんと説明し、そのうえで国民の「要望=民意」を受け入れて対峙することである。ほんとうは、実現できる目処のない国民の「要望=民意」を、安易に「公約」してはならない。
  しかし現実の状況は、政治家にとって選挙で当選しななければ政治を主導することができないがために、先ずはなにをさて置いても「要望=民意」に寄り添い、実現できる目処のない「要望=民意」を「公約」してしまうのである。これは、いずれの政党も陥りやすい、根強い傾向である。
  この大問題を是正しないかぎり、少し前の民主党政権のような悲惨な状況を招くことになるし、現在の自民党政権でさえ、本来最優先で実行すべき大切な政策を後回しにすることになる。
 国民の側でも、政策を通じて具体化・実現が可能か否かを深く問わずに、自分たちの「要望」をストレートに安易に聴いてくれる政治家に期待しがちである。これは日本に限ったことではなく、現在アメリカ大統領候補予備選挙で発生している「トランプ旋風」も、同じ現象である。
  この困難な問題を少しでも是正するためには、政治家の真摯な反省と「覚悟」が必要であると同時に、国民の側も諦めずにほんの少しでも「政治的に賢くなる」ことを積み重ねていく必要がある。そのためには、あたかも衆愚化を煽るかのような低レベルのマスメディアを信用せず、われわれが自分自身で少しずつ考え抜くこと、かつその地道な積み重ねが必要である。

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