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米映画「セッション」

  レンタルDVDで米映画「セッション」を鑑賞した。2014年度のアカデミー賞において、助演男優賞・作品賞・録音賞の3部門を獲得した評価の高い作品である。
  アメリカの音楽部門でトップクラスのシェイファー音楽学校に通う19歳の少年アンドリューが主人公である。彼は大学でフレッチャー教授に見いだされて、フレッチャーのスタジオ・バンドに特別に招かれる。ここからフレッチャーの常軌を逸するまでの過酷なスパルタ教育に放り込まれる。フレッチャーを見返そうとドラムの練習に命懸けで取り組み、恋人とも別れて専念して必至に練習するが、フレッチャーの理不尽な仕打ちについにフレッチャーに掴みかかり、退学処分を受ける。このとき、父の計らいでフレッチャーに対する法的対抗措置をしたことで、フレッチャーも音楽学校教授を退職させられる。そうした後に、偶然の再会があって、結局フレッチャーのバンドで演奏する機会を得るが、ここでフレッチャーの復讐から不当な屈辱を受ける。しかしアンドリューは一方的に自分の演奏にバンドを引き込み、神がかりの演奏をやってのける。
  芸術家の普通の成功物語ではなく、登場人物の欲望・感情・対立・愛憎などが濃厚に織込まれ、とても密度の濃い画面を構成している。私は芸術方面の教育や師弟関係についてはまったく知るところがないが、どんな分野にしても一流になる過程では、ときに常軌を逸するまでの過酷な教育や訓練などがあっても不思議はない、という程度の理解しかできない。そういう常識的な知識や倫理の範囲を超えるなかに、この映画の緊張感と魅力がある。とくに助演男優賞を獲得したJ・K・シモンズは、ブロードウエイのベテラン・ミュージカル俳優というだけあって、音楽の素養も十分で、なにより驚くべき迫力の演技である。主役アンドリューを演ずるマイルズ・テラーも、役作りのためにドラムを懸命に練習し、手のまめが潰れて出血する映画のシーンは、ほんとうの傷口であるという。
  きれいごとではない、現実にありそうな、しかし想像をはるかに超える壮絶な迫力あるシーンが続く、1時間46分がごく短く感じられる、緊張したひとときであった。
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