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パリ・マグナム写真展 京都文化博物館

京都文化博物館に「パリ・マグナム写真展」を鑑賞した。
1952   パリ・マグナムという写真家集団は、ロバート・キャパが世界的に有名であるが、私はそのマグナムという名前だけしか知らなかった。展覧会の説明によると、さきの大戦後1947年にアンリ・カルティエ・ブレッソンを発起人として、ロバート・キャパ、ジョージ・ロジャー、デビッド・シーモアによって、写真家自身による写真家の権利と自由を守り主張することを目的としたグループとして発足したという。
  展覧会は5つのセッションから構成され、マグナム結成以前の作品群、復興の時代1945-1959、スウィンギング・シックスティーズ1960-1969、多様化の時代1970-1989、解体の時代1990-2017 として全131点が展示されている。
  さすがにプロの写真家だけあって、ほとんどの写真はとても美しい。ほとんどすべての写真は、時代の空気感を漂わせた環境条件を表す風景と、そのなかにさまざまな表情を表す人びとの姿との、ふたつの焦点で構成されている。1949_2
マグナムの写真家は、主に報道や出版で写真を通じて政治や社会を批判し、社会変革を訴えることを基本方針としている。さきの大戦については、フランスがドイツに占領されたヴィシー時代の報道写真、そして1944年8月25日のパリ開放とレジスタンスの雄姿などの写真が多数展示されている。しかし、フランスに直接縁のない私としては、フランス人はそもそもドイツに占領されるに至ったことを真剣に反省すべきであって、英雄的に解放を勝ち取ったということ自体は、実はさほど誇れるようなことではないのではないか、と思ってしまう。さらにこの一連の写真を眺めると、ひとごとではない、と感じる面もある。日本では民間会社1社の経営ミスによる損失額と同程度の国家GDPに過ぎない北朝鮮が核兵器をもって日本をはじめとする周辺国を暴力で脅かし、韓国の経済規模に満たないロシアが大量の核兵器・通常兵器を所有するがゆえに軍事大国としてシリア・ウクライナをはじめ世界中を荒し回っている。中東やヨーロッパではISのテロも深刻化している。そんな危険な時代・危険な国際環境のなか、わが国の一部メディアは「政府の疑惑」なるものをでっち上げ、倒閣さえすればあとの日本はどうなってもかまわない、と言わんばかりの行動を続け、国民も俳優の不倫や離婚騒動のテレビ報道に浸っている。1940年ころのフランスのように、日本も北朝鮮や中国に理不尽に侵略されてしまう可能性はないと断言できるのだろうか。
1996   2015年11月のパリ同時多発テロ事件についても、何枚かの写真がある。マグナムの主張によれば、フランスが移民を差別し貧困に陥れたことが原因である、という。振り返れば、私たちが若いころ「人種差別」というと、かならずアメリカの黒人差別が典型的な事例として取り上げられ、ヨーロッパの人びとはアメリカを痛烈に批難していた。「世界」をはじめ、そういう類の雑誌の記事がたくさんあった。いまでは、アラブや中東の難民を受け入れて世界中のメディアから賞賛を受けたフランスやドイツで、差別的処遇を受けて強い反発を感じた移民の一部が、ホームグローン・テロリストとして、このパリ同時多発テロをはじめとするさまざまなテロ行為を行っている。移民を受け入れても、移民を決して差別しない、と断言できる国など決して存在しないのが現実である。マグナムが理解し主張するほどには、現実世界は単純ではない。
  私は、すでに報道や出版の写真について、見方がかなり慎重かつ懐疑的になっている。ベトナム戦争のときも、写真家が「捏造」してピュリッツアー賞を取った報道写真が、世界中の世論を偏向的に煽ったことがあった。最近も、トルコ南西部の海岸で発見された3歳のクルド系シリア人の幼児の死体の写真が、世界中の人びとの関心を集めて、西欧諸国はもっと移民を積極的に受け入れるべきだ、さらに日本ももっと移民受け入れに積極的になるべきだ、との安易で無責任な世論を喚起した。写真は、表現力・影響力・伝搬力に優れるだけに、訴求力が強いきわめて有力なメディアの手段ではあるが、一方的な主張をもとに撮影され報道され伝達されると、まちがった場合に悪影響も甚大となる。
  いろいろなことを考えさせる展示会であった。
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コメント

加計・森友問題が何故一部メディアのでっち上げなんですか?1940年のフランスの様にナチスに侵攻されるみたいに北朝鮮や中国が理不尽に侵略するとか?貴方こそ一部極右メディアのデッチアゲ・安倍政権御用メディアの一方的偏向の悪影響を信じすぎているんじゃないでしょうか。
私から見たらうらやましすぎるほどの海外旅行を楽しめる生活をなさっている程なのに本当に日本の国民を苦しめている支配層を批判する事がなぜいけないんでしょうか。
加計・森友は国家の私物化で疑獄に発展してもおかしくないと世論は圧倒的に政権に不信を示している事はご承知の筈ですが。
それを一部メディアのでっち上げとういうなら民主主義の自己否定ではないでしょうか。
移民受け入れにしても日本の大メディアはどこもあまり積極的な肯定的主張をしておらず、結果として国民世論は消極的ですが?
それにあなたの書いておられるのはどうも移民というより難民受け入れの事の様に思いますが、日本が批判にもかかわらず現在も極めて少数の数えるほどの認定なのはご存知だと思いますが。写真が一方的に悪用され扇動に使われるというなら戦前の日本の軍国主義などから学ぶべきだと思います。

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