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坂東玉三郎初春特別舞踊公演

 大阪松竹座に坂東玉三郎初春特別舞踊公演を観賞した。新年正月早々2日から26日まで、坂東玉三郎と若手女形のホープ中村壱太郎のふたりだけで、毎日1回ずつ上演するのである。Photo_2
 冒頭に口上があり、玉三郎からはじめて壱太郎につなぐ。壱太郎は若いだけに艶があってよく通る声で、初々しい好感がもてる口上であった。
 最初の演目は、「元禄花見踊」で玉三郎が壱太郎と一緒に上野の山に花見に憩う若い女を演じて踊る。満開の上野の山に、元禄時代のきらびやかな衣裳をつけた武士、奴、座頭、若衆、町娘、遊女などさまざまな階級の人々が集って花見の踊を踊るという、華やかで陽気であでやかな長唄舞踊である。舞台の照明もとても明るく、春爛漫の明るさに満ちている。
 2番目の演目は、対照的に月明かりのしっとりしたシーンからはじまる秋の風情を演じる「秋の色種(あきのいろくさ)」である。江戸時代の弘化2年 (1845)麻布不二見坂の南部侯の屋敷の新築祝いのため開曲された長唄の名曲とされる。
 3番目の演目は、壱太郎がひとりで舞う「鷺娘」である。白鷺の霊が白無垢姿の若い娘となって、とげられない悲恋にもがき苦しみつつ降りしきる雪のなかに果てるという物語を、長唄舞踊で演じる。2枚の衣裳を重ねて縫い合わせ、その糸を抜いて上の衣裳を引っ張るとパッとはがれて下の衣裳が現れる「引き抜き」と呼ばれる早変わりが見せ場としてなんども出現するのが特徴である。衣装の早変わりに同期して照明を瞬時に変えて、衣装の変化を効果的に演出する。30分ほども続く長丁場の舞踊だが、息つく間もなく緊張感が続いて、あっという間に終わったように感じた。
 最後の演目は、玉三郎がひとりで舞う「傾城」である。吉原を舞台に、恋に苦しむ美貌の花魁を、まさに豪華絢爛に舞踊で演ずるのである。冒頭の吉原の花魁道中の場面は、1~2分のごく短いシーンだが、華やかな舞台美術、とくに多数の提灯が遠近法で多数並ぶ光景は、とても豪華で印象的だ。玉三郎演じる花魁の衣装が、これまた豪華絢爛の典型のような見事なものであって、これだけでも見ものである。和服の製造・供給の立場からみると、歌舞伎の舞台のように豪華さ・見栄えの良さを極限まで追求する需要の存在は、思い切ったデザインや素材を開発・導入できる貴重な機会であろうから、歌舞伎は和服という大切な日本の伝統芸術を支える側面を担うとも言える。
 歌舞伎の女形という様式は、主に男の主観から「理想の女性」の容姿・しぐさ・身のこなしなどの典型を新たに創造する営為であり、理念的・人工的に形成された、いわば妄想にもとづく創造的な美の芸術のひとつの形態である。貴重な日本の伝統芸術であることは、いうまでもない。

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