21世紀研究会『新・民族の世界地図』文春新書
2006年発刊なのでもう12年も前の情報によるものだが、世界の情勢を理解する補助にもなれば、とひとまず読んでみた。
民族の諸問題について、言語、宗教、さまざまな要因にもとづく移動、先住民族・少数民族、民族対立・紛争、中東・アラブとユダヤ、エネルギー争奪戦のそれぞれの視覚から分析・整理している。12年の時間が経過して様相が違ってきている問題もあるが、問題の基本的な性質や歴史など、この本に書かれていることで参考になることは多い。
ここで問題となっているものの大部分が、非常に解決困難であると思わざるを得ない。とりわけ先住民族の権利の問題などは、心情的には理解できる範囲もあるものの、権力や暴力を含めて長い歴史的経過の蓄積の結果のことについては、いまさら問題提起しても良い結果が期待できないことが多いとも思う。
政治も歴史も、人間の営みは完全ではあり得ないことを認識したうえで、ベストは無理ども少しでもベターな選択を実行し続けられるよう、この本に指摘されている諸問題を少しでも多くの人々が認知することは重要であると考える。
ちいさな本に網羅的に多くの問題について概説しているので、個々の問題の詳細については、各々がさらに個別に参考書にあたることも必要だろう。それでもこのようにコンパクトに要約された本の存在は、入門書・啓蒙書として貴重なものだと思う。
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