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遠藤誠・佐藤友之『オウム事件と日本の宗教』三一新書

 23年以上前に発生したオウム真理教事件について、なにか新しいことがわかるかもしれない、と思って21年以上も前の出版ながら、ともかく読んでみた。遠藤誠は、オウム真理教信者のひとりで教団の専属弁護士のような立場でもあった青山吉伸の弁護を担当し、さらに麻原彰晃から弁護を依頼されたことがあるというようなことで有名となった高名な「人権派弁護士」である。そんなこともあって、オウム真理教やその信者たちの内情などにも詳しいのではないか、と期待していた。
 ところが、この本の内容は、オウム真理教の中身については「100%邪教」、「麻原彰晃は宗教者とは言えず、ペテン師にすぎない」など、われわれ一般人がすでに知っていること以上の新情報はない。そのかわりこの本の中身は、もっぱら日本の現状・社会にたいする批判にある。いまの世の中は、誰もが物と金ばかりを追いかけ、物が豊かになれば人類は幸福になれる、技術さえ発達すればそれで人間はしあわせになれると思い込んでいる、と断定する。そうした「愚民観」を前提に、対して自分は社会や人間の本質をよく把握しているから「愚民」の過ちには陥らない、との立場である。とくに遠藤誠の場合は「自分がいちばん偉いと自覚している」とまで公言するほどの自信家である。
 そしてオウム事件が我々に突きつけたのは、今の社会も政治も宗教も堕落の極みになっていて、愚かな民衆はそれに追従し反抗できない、という根本問題であって、そういう絶望的な社会が麻原彰晃やオウム真理教を発生させた原因なのだ、とする。民衆は「権力」を正しく敵と認識し、反抗し、打倒しなければならない、と理由も根拠もよくわからないままに熱弁している。しかし当然ながら、このような立場・姿勢は、本人は高みから「正論」を吐いているつもりかも知れないが、われわれ一般人を説得することは難しく、政治的にも社会的にも実効性がない。
 このように情緒的で論理が飛躍した「愚民観」と選良意識とが、どうしてこんなに自信満々に出てくるのか、私には到底理解できない。「人権派弁護士」と呼ばれる人々は、総じてこのような傾向があるのだろうか。
 残念ながら、この本を読んだ時間は、ほとんど無駄だったようだ。

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コメント

お久しぶりです。

 遠藤誠ってオウム事件の頃に結構ТVに出ていましたね。何だか姿勢や態度がグタグタで好印象がありませんでしたが、著書でこのような主張をしていたのですか。「人権派弁護士」の正体には呆れるばかりです。

 今の社会も政治も宗教も堕落の極みになっているなら、では堕落していなかった時代は何時?と言いたくなります。赤軍派の同志大量リンチ殺人事件の時も、若者たちをあそこまで追い込んだ政治や社会が悪いと擁護していた知識人がいました。権力=絶対悪と妄信するのが「人権派弁護士」のようです。
「自分がいちばん偉いと自覚している」とまで公言していたそうですが、これぞ「妄言」でしょう。

mugiさん
コメントありがとうございます。
オウム事件は奇怪な事件でしたが、ついでにほかの変な人たちをもあぶり出したという側面もありましたね。
引き続きよろしくお願いいたします。

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