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「十月歌舞伎」松竹座

 市川齊入と市川右團次の襲名披露を兼ねた十月歌舞伎公演が大阪松竹座で開催された。京都南座が改修工事でながらく休館していることもあって、久しぶりの歌舞伎鑑賞である。Photo
 最初の演目は、華果西遊記(かかさいゆうき)である。三蔵法師・孫悟空・猪八戒・沙悟浄の天竺をめざす一行が、西梁国という女人だけの国をおとずれたときに、蜘蛛の魔物に襲われるが、機知と武勇と忍術に秀でた孫悟空の活躍で三蔵法師をみごと救済する、という冒険物語である。孫悟空はこの日お披露目の市川右團次が、孫悟空の分身の子役をやはりこの右團次の実子右近が演じる。
 市川右團次つまりもと右近は、私はこれまであまり知らなかったが、最近テレビの人気ドラマ「陸王」に出演して、すっかりなじみになったベテラン俳優である。手品のような細かい芸、きびきびしたアクション、そして子役の右近とともに天井からのロープに吊られての空中浮遊と、なかなかもりだくさんの演出が取り入れられている。軽妙でコミカルな味もあって、楽しい雰囲気の舞台となっている。全体として、美しい舞台となっている。
 つぎは二代目市川齊入と三代目市川右團次の襲名披露の口上である。実はこの二つの名跡は、幕末から大正時代にわたって上方歌舞伎を牽引した名優初代市川右團次が淵源だそうだ。天保末期に生まれ、嘉永期に初代右團次として早替わりや宙乗りなどのケレンを得意とし、立役、女形、老役、敵役など幅広い役をこなす一方、舞踊も得意とした、とても芸達者な役者であったらしい。彼は明治42年、60歳代半ばになって長男に二代目右團次の名跡を譲り、自らは初代市川齊入を名乗るようになった。
 右之助改め二代目市川齊入は、初代市川齊入の曽孫にあたる。右近改め三代目右團次は、日本舞踊飛鳥流家元の飛鳥峯王の子として大阪に生まれ、少年時代から上京して三代目市川猿之助の部屋子となって修行しつつ慶応義塾大学法学部を卒業、昭和の終わりころから活躍している。そして今回、右近を実子に継がせて、その御披露目もこの日同時にした。まだ幼いが声が大きく、仕草が可愛くて役者としての華が期待できそうである。
 次の演目は「神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)」という世話物である。江戸の火消し組「め組」の鳶仲間と、相撲取のあいだに起こった文化2年(1805)の実話にもとづき、明治時代に竹柴基水の作で上演されたものである。力士と鳶の意地の張り合いから大勢を巻き込む大喧嘩となるが、最後は火消し組を管轄する町奉行と相撲を監督する寺社奉行の仲介によって収まったという話である。め組の頭辰五郎を市川海老蔵が、力士のリーダー四ツ車を市川右團次が、それぞれ演じている。右團次のここでは重厚な演技が、そして海老蔵の美貌とよく通る声が印象的である。
 最後は、海老蔵が主演する新作歌舞伎舞踊「玉屋清七」である。スクリーンいっぱいに花火を映し出し、ラストシーンでは実物の花火を舞台上で披露し、さらに観客席にまできらびやかな紙吹雪をまき散らす斬新な演出である。観衆の多くが、すっかり堪能した様子であった。
 いよいよ今年の歳末から京都南座が再開する。今後の歌舞伎に、一層期待したい。

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