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映画「アンセイン」

 キュリアウーマンとして、ビジネスの最前線で華々しく活躍するソーヤーは、母のもとを離れ一人で懸命に生きているが、悩みも心の闇もある。とくに2年間ほど執拗なストーカーに悩んでいた。つい近所の精神科の病院に、軽い気持ちでカウンセリングを受けるが、これが彼女の想像を絶する恐怖体験への入り口となった。ほんのわずかの面談での何気ない発言と、内容をよく確認しないままサインした契約書のために、あれよあれよという間に精神病の疑いとして強制的に入院させられ、その理不尽さに抵抗しようとすると、精神異常による暴力行為として入院期間を延長されてしまう。精神病院のなかには、ほんとうの精神病患者もいれば、ソーヤーのようにそうでない者もいる。なんとその病院に、彼女をつけ狙うストーカーであるデヴィッドが、病院のスタッフとして在籍していることが判明する。
 精神病院の患者の立場はとても弱く、スタッフの力は相対的にとても大きい。精神病患者というレッテルだけで社会の信用をすべて喪失し、病院から脱出する術を得られなくなる。追い詰められて、病院の地下病室という牢獄よりも過酷な場所に閉じ込められ、そこへデヴィッドが現れる。まさに死ぬほどの極限の恐怖に見舞われるソーヤー、それでも彼女は知恵を振り絞って脱出を果たす。しかしそんな経験は彼女を蝕み、ほんとうの恐怖症になっていたらしい。
 ミッシェル・フーコーがいう「精神病院が精神病患者を生成する」という命題を実証するかのようなストーリー展開であり、通常のスリラーよりはるかに恐ろしい映画である。
 主演のクレア・フォイの演技に魅了された。監督は30年前に『セックスと嘘とビデオテープ』というきわめて製作費の小さい画期的な映画で、突然高い評価を得て大監督になったスティーブン・ソダーバーグである。登場人物の表情・セリフに出る以上の、ストーリー展開や画面の緻密な構成による心理表現が巧みである。あっという間に終わってしまうような、緊張感が続く良い作品である。
 

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