2020年11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
フォト
無料ブログはココログ

« アニメ映画「ザ・ブレッドウイナー」 | トップページ | プラド美術館展 兵庫県立美術館 (1) »

映画「ブルックリン」

 1950年代のアイルランドとアメリカを舞台に、ひとりのアイルランド人移民女性のこころの揺らぎを描く映画である。
 アイルランドの田舎町、年頃の娘エイリシュは、生まれた閉鎖的な町で自分の可能性を試す機会もみつからず、気持ちが晴れないまま日々を送っていた。それを知る姉は、エイリシュにアメリカのニューヨークに行って働くことを薦める。希望に胸を膨らませてエイリシュはニューヨークに行くが、慣れない新しい職場にも、アイルランド出身者中心の新しい人間関係にもうまく馴染めず、ホームシックになる。
しかしニューヨークでアイルランド移民の世話役をする親切な神父のアドバイスにより、会計学の学校に学び、徐々に実務能力を身に着け、同郷のアイルランドからの移民者の世話をしたりして、周囲に貢献できることを発見して、自信をつけて行く。そうして新生活に慣れたころ、ダンスパーティーでイタリア移民の青年トニーと出会い、やがて結婚する。
 ようやく幸せにめぐりあえたエイリシュだったが、突然姉の急死を知らされ、慌ててアイルランドに帰省して、そこで旧友たちと懐かしいひとときを過ごす。すっかりアメリカの豊かさと洗練された流行モードに馴染んだ彼女の姿が、友人たちの注目をあびる。そんなとき、幼馴染の青年ジムと再会し、すっかり立派な紳士になったジムにやさしく接してもらい、心が揺らぐ。しかし彼女はすでに既婚者であり、乱れる心を残しつつも、アメリカのトニーのもとへ帰るのであった。
 格別の問題はないが第二次世界大戦後低迷して閉塞感があるアイルランド、それに対してますます豊かさを増し華やかに希望に満ちているアメリカ。そのふたつの世界を知り、故郷の安心感と沈滞と愛着と郷愁、それに対する新しいアメリカの躍動感と希望と不安を経験する。アイルランドからアメリカに移民した人たちは、おそらく似たようなジレンマに襲われたのだろう。
 1847年のアイルランド大飢饉でのアメリカへの大量移民以来、アメリカではアイルランド系移民は一大勢力であり、移民としては決して少数派ではないだろうが、当事者に祖国と移民先との間でさまざまな思いがあるのは当然だろう。
 地味で繊細で内気な田舎町の少女から、華やかで洗練された美しい女性に成長していく姿を、アイルランド人女優シアーシャ・ローナンが好演している。全編に、何とも言えない切なさが漂う、クラシックで抒情的な作品である。

人気ブログランキングへお気に召せばクリックください

« アニメ映画「ザ・ブレッドウイナー」 | トップページ | プラド美術館展 兵庫県立美術館 (1) »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 映画「ブルックリン」:

« アニメ映画「ザ・ブレッドウイナー」 | トップページ | プラド美術館展 兵庫県立美術館 (1) »