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Yuval Harari,"21 Lessons for the 21st Century" (14)

14.世俗主義 Secularism
 「世俗主義」を、宗教・信仰・宗教儀式のすべてを否定するものとする考えがある。しかしこれは虚無的で非道徳的に思える。そうではなく「世俗主義」を、もっと前向きで行動的な世界観として、宗教に反対するのでなく宗教の伝統を尊重しつつ、排外的な教義でなく道徳や知恵の財産として、宗教の派閥にとらわれないものとして理解する考え方を取りたい。その尊重すべき道徳と知恵とは、普遍的にすべての宗教に受け入れられる範囲のもの、たとえば正直・思いやり・平等・自由・勇気・責任などである。これらは、現実的な近代的社会組織の、また民主主義や科学の基礎となる。
 ここで「世俗主義の理想」の要件を考える。①まず正直であること。信仰にたいする忠誠以上に、観察の結果、証拠を尊重する。信じるよりも真実のほうが大切とする。②相手・他人へのじゅうぶんな思いやり。とくに他人や相手の「苦しみに対する思いやり」が大切。したがって神が命じるから殺さないのでなく、相手が苦しむから殺さない、という論理が正しい。③科学的真実の尊重。④自分自身がなにものにもとらわれずに正しく判断できるための、自由の尊重。⑤自分が知らないことを率直に認めて、疑って確かめる、それができる勇気。「あなたが答えられない問は、あなたが問えない答よりはるかに良い」。⑥自分の判断と行動は、神まかせや神のせいにせず、自分が責任を負うこと。
 そして世俗主義が各宗教と対立する局面では、各宗教側が譲歩する。また世俗主義側は、各宗教の信者が神を否定しなければならない、あるいは宗教儀礼を停止しなければならない、などを要求してはならない。
 世俗主義の問題は、道徳や責任の欠如ではなく、むしろ道徳や責任への要求水準が無制限になりかねないことである。典型的には、マルクス主義、スターリニズム、戦争中の兵士の倫理などの圧政に見られる。資本主義でさえも宗教のようにドグマを語るときがあり、民主主義も選挙による多数派の権威主義的圧政を生むことさえありうる。20世紀にはファシズムや宗教圧迫に対する手段として「人権」というドグマは有効であったが、これも今後は要注意の面もある。21世紀の生物工学では、「選択の自由」も倫理的に再検討が必要となる局面がある。

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