「ハマスホイとデンマーク絵画」東京都美術館 (2)
スケーイン派と北欧の光 デンマークの領土だが未開の領域も多いユトランド半島の北端に、スケーインという質素な漁村がある。この地の厳しい気候とそのなかで働く逞しい漁民の生活は、デンマークの近代人にとって古く厳しく質素で緊張感に満ちた概念上の「良き古き時代」を想像させて、独特の郷愁を誘い、多くの文化人たちから注目されてきた。
ミケール・アンガは、スケーイン派と呼ばれる画家たちの代表的な画家で、この地の漁民たちを勇猛で勤勉な人たちとして美化して描いたと言われている。「ボートを漕ぎ出す漁師たち」(1881)は、その例のひとつで、遭難救助に向かう勇気溢れる漁民の男性的で逞しい姿を描いている。このアンガは、この小さな町のただ一つの宿屋の娘アナと結婚した。アナも画家として活動した。アナは夫と異なり、スケーインの家庭生活を専ら描いた。
ピーザ・スィヴェリーン・クロイアの「朝食─画家とその妻マリーイ、作家のオト・ベンソン」(1893)は、スケーインの質素ななかにも知的で活気ある生活の一部を表現した絵で、人物の生き生きとした表情やしぐさが現れている。

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