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ポーランドの映画ポスター展 京都国立近代美術館 (1)

 新型コロナウィルス感染対策の自粛要請がようやく終わって、6月初めころから各所の美術館が平常に戻りつつある。しかしまだ美術館によっては入場が事前予約のみとか、同一府県内からのみとかの制限がある。岡崎の京都国立近代美術館は、開場時間が少し短いが再開し、「ポーランドの映画ポスター展」は、3月初めから5月初めであった会期を臨時休館を配慮して延長し、7月12日までとなったのを鑑賞したのであった。

ポーランド映画のポスター(上)
 今回は、社会主義政権下であったころのポーランドの映画ポスターの展覧会である。映画ポスターの展覧会という企画そのものが私にははじめでてあり、アートにもいろいろ制約が多かったであろう社会主義政権下の時代の作品展なので、私の正直な気持ちとしては、期待というより好奇心で観に行ったのであった。
 考えてみれば戦後のポーランドの映画界には、アンジェイ・ワイダ、イェジ・カヴァレロヴィチ、ロマン・ポランスキーなど世界的にも高名な監督・プロデューサーがいた。展覧会の解説によれば、1950年代半ばから社会主義リアリズムを脱して新時代のアーティストたちが自由な表現を最大限に推し進め得たのが映画とグラフィックデザインであったという。映画のポスターについても、国際的に注目されるような斬新なアートが出現して、映画作品とグラフィックデザイナーによるポスターとで「ポーランド派」と呼ばれるグループが形成された。今回は、1950年代後半から1990年代前半ころまでに制作された96点のポスターを紹介するのだという。
 冒頭の展示作品である「黄色のジャージを得るために」(1954)は、グラフィックデザイナーのイェジ・ヤヴロフスキが、イェジ・ボサク監督の映画「黄色のジャージを得るために」のために制作したポスターで、「平和のためのレース」と名付けられたポーランドの自転車レースのドキュメンタリー映画であった。画面はグレーと薄い青色のみで黄色はないが、オリンピックの勝者に与えられるとおなじ黄色のジャージが優勝者に授与されたので、この題がつけられた。社会主義体制の圧迫からか、スポーツの映画なのにポスターには弾けたような快活さはなく、そこはかとなく鬱屈したエネルギーを感じさせる。Photo_20200623062601
 「悪魔との別れ」(1957)は、暗色の険しい表情の男の顔が強烈な暗い印象を与えるポスター作品である。ジャーナリストが殺人を犯すが、その背後に複雑な事情があったことが徐々に解明されるという映画だそうだ。登場人物の心理表現が軸となる映画だという。
 「さよなら、また明日」(1960)は、週末だけワルシャワに来るフランス領事の娘に恋したポーランド青年の物語だそうで、ヤヌシュ・モルゲンシュテルン監督のデビュー作品であった。可憐なヒロインの写真が中心に配置され、この時代のさまざまな制約の中での男女の恋の物語である。
 ロマン・ポランスキー監督の映画「水の中のナイフ」(1962)のポスターがある。ポランスキー監督のデビュー作品で、私はたまたまこれをテレビ番組で観たことをかすかに覚えている。裕福な中年夫妻と若い行きがかりの男のたった3人の登場人物で、性的欲望、世間的欲望、殺意、善意などの人間の内面の多様性と葛藤をテーマとしたドラマであった。ポスターは、夫妻を表わす魚が上と下に描かれ、その間に挑戦的な面構えの攻撃的な印象の魚が描かれる。いずれの魚も太い輪郭で囲まれ、葛藤・緊張や孤独が表現されている。

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