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ポーランドの映画ポスター展 京都国立近代美術館(2)

ポーランド映画のポスター(下)
 「大事故」(1965)は、稲妻のように激しく斜行する白と、グレーの縞模様だけの単純で大胆な構成だが、激しい衝撃や心理的動揺を遺憾なく表現するポスターである。大きな橋が突然崩壊し、その原因が規格外れの部品の採用によることが判明したという。大胆にも、ポーランドの社会主義国家機構の深い闇を寓意するのだろうか、と思ってみる。
 「婚礼」(1972)は、アンジェイ・ワイダ監督の名作のひとつとされ、一夜の婚礼の宴に集った人々の幻想を通じて、象徴的にポーランドの歴史を描く映画である。幻想のなかに実在した歴史的人物の幽霊や亡霊が現れ、民衆蜂起を煽られる。人々は蜂起の準備をはじめ、芸術家やインテリたちに参加と指導を求めるが、彼らはそれは陶酔と幻想のなかのことだと動こうとしない。やがて人々はみな魔法をかけられたように動けなくなり、明け方になると何かに衝かれたかのように踊りだした。そして花嫁の前で一頭の白馬がゆっくり倒れ息をひきとる。ポーランドの悲しい歴史を表現する映画であるためか、ポスターに描かれた新郎と新婦の表情に笑顔はなく、孤独、寂しさ、虚脱が漂っている。Photo_20200625063401
 「イルミネーション」(1973)は、ヒトとムシ、そして不気味な泡のような物体がいわくありげに組合せて構成されている、かなり抽象絵画的な作品である。登山を趣味とする物理学者がある日突然自分の仕事に疑問を抱き始め、職を捨てて工場で働き始めるという。映画の物語のなかには、実在の哲学者も登場し、かなり理屈っぽいストーリーなのだそうだ。
 「心電図」(1971)は、若い医師が田舎町に赴任して、地元のひとびとと接することになるが、地元の人たちは医学などの科学知識から遠い伝統的思考に固執して、若い医師と対立し軋轢を生じることがテーマなのだそうだ。
 ポーランドの映画とそのポスターは、たいてい大きな社会全体ではなく、家族、恋人、個人などのごく狭い範囲のなかでの人間の精神・心理の機微や複雑さ、あるいは意外さを扱った作品が多く、その範囲内ではかなり斬新な表現を取り入れているように感じた。一党独裁の社会主義体制でもあり、芸術も狭い世界を深耕する方向にしか進めなかったのかも知れない。

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