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John P. Carlin "Dawn of the Code War"(6)

3.Cyberattackの進化
 Cyberattackを仕掛けてくる敵は、進化・成長する。これまでほぼ3段階があったし、現在は4段階目に差し掛かっているようだ。
(1)冷静・沈着な中国
中国政府は、オンラインでアメリカ政府からは技術・経済・軍事の情報を、民間企業からは技術と経済に関わる情報を、専ら盗んできた。中国政府は中国共産党を中心に複雑な官僚機構を構成して、相互に競合する派閥もある。Cyberattackでは、攻撃的で強烈ではあるが、理性的・合理的な動きをして、摩擦をできるだけ回避しようとしている。そのインセンティブは、Cyberattackの顕在的・潜在的コストが、それにより獲得できる(盗み獲れる)価値に比べてはるかに小さいことである。被害者のアメリカとしては、中国のCyberattackのコストをいかに上昇させ、Cyberattackが採算のあわないものに変えることができるか、がポイントである。
(2)誰が指令しているのか判然としないイラン
イランは、2000年代後半には、破滅的なCyberattackを仕掛けてきた。こともあろうに、アメリカ・ワシントンのイタリアンレストランで、サウジアラビア駐米大使の暗殺を図ったのである。その後も、ラスベガスのカジノのオーナー、ウォールストリートの金融センターなどをCyberattackしている。これらの周到に計画された非対称的な攻撃たるCyberattackに対して、アメリカとしてどのように向き合うべきなのか、アメリカに政策上の課題をもたらした。いまだにこれらのアクションについて、イラン政府がどの程度関与しているのか、あるいはイラン内部の派閥争いによるものなのか、不明な点が残っている。
(3)予測困難な北朝鮮
北朝鮮のハッカーは、長らく一貫して中国などのインフラに依存しながら、外国の金融機関に侵入してカネの窃盗を繰り返してきた。自国の飢渇をなんとかして免れるためである。しかし2014年にはアメリカ・ハリウッドのSONY Picturesへ侵入して、SONYの秘密情報を盗み出し、アメリカのmain stream mediaを通じてその秘密情報を公開した。すると、メディアを介して事件を知った大衆は、Cyberattackした加害者よりも、被害者たるSONYと、アメリカ政府を非難した。アメリカ社会は、むしろ加害者に加担することを見たのである。
これを見たロシアは、2016年のアメリカ大統領選挙のときに、この傾向を前提に、電子メールへのハッキングとその内容の暴露により、アメリカの民主主義に対する疑惑の生成を目指したのであった。
(4)非国家としてのISIL
現在の新しい動きが、国家を標榜して主張するものの、未だ国家の躰を成し得ないイスラム教徒の一派ISILである。彼らは、実行手段としての暴力行使kinetic attackと組み合わせて、Cyberattackを実施している。ロシアも、ほぼ同様の戦術でグルジアやウクライナへ暴力行使kinetic attackとCyberattackの併用作戦を続けている。
典型的には、Critical cyber infrastructureを攻撃して、電力網、政府や軍の通信網を遮断し、病院を麻痺させて、軍事侵攻に対する反撃を抑えたうえで攻撃をかけるのである。イギリスでは、病院が電気もネットも停止され、救急処置も手術も不可能に陥った。金融機関では、ネットを通じて複数のマシンから大量のデータを送り込んで処理負荷を過大にし、コンピューターの動作速度を極端に遅くして機能停止に追い込むDDoS attackと呼ばれる攻撃をかけ、銀行の注意をそらせておいて現金を盗み出す、という両面攻撃も行われた。今後は、IoTを使った攻撃法がすでに考えられている。
 Cyberattackの次の段階は、相手の社会になんらかの脆弱性をつくることである。従来は、秘密情報を盗む・漏洩する・自国のために活用する、であったが、これからはデータの改ざん、破壊により、われわれの行動基準となる情報の信頼性を棄損することである。銀行はデータの正確さを、軍の将校は場所やレーダーの情報の正確さを疑われるようにするのである。

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