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John P.Carlin "Dawn of the Code War"(12)

第1章 The Rise of the Hackers
1.6.ロシアのハッカーの構造
 ロシアのCybercrimeのグループは、弾除けbulletproof(見つかりにくく、捕まりにくいという意味か)としてたいてい少数の構成で、雇用契約で犯罪や問題を引きおこすコンテンツを提供する。その多くは、ロシア国内または東ヨーロッパにあり、正規の10倍以上の高額で請け負う。その報酬も、いくばくかは地域の警察や政府官僚への賄賂として必要経費となっている。彼らのオンライン犯罪は、攻撃対象がロシアやロシア影響下の東欧でない限り、ロシア政府から黙認されている。ロシア政府自身がクライアントになることもしばしばではないか、と推定されている。東欧の多くの国々は、コンピューター犯罪に対する規制法がないので、彼らの活動はリスクフリーである。
 そのなかで最も悪名高いのがRussian Business Network (RBN)である。セントペテルスブルクに拠点を持ち、ロシアの新しい犯罪組織の先陣でもある。彼らの背景には「大きな銃と小さなモラルをもつロシアマフィアがいる」と言われている。これらロシアや東欧の犯罪組織は、企業的entrepreneurialであり、イタリア・シシリアのCosa Nostraの家族的・共同体的な性格とは一線を画す。
 彼らが最初に狙ったのは、オフラインで行われていた犯罪を、オンラインに乗せることであった。小児ポルノ、金融がらみの詐欺などが彼らの初期の生業であった。1990年代後半から2000年ころには、Viagra、ガン治療などの偽薬とともに、spam mailを始め、やがてmalwareを感染させてまともに機能できないゾンビ・コンピューターを多数生成し、それを勝手に都合よく結合してbot netをつくることで事業が発展した。bot netは、犯罪者には使い勝手のよいネットワーク要素であり、高額で売却できたのである。
 このような犯罪組織で働く有能なハッカーたちは、この地域で自分の能力を有効に生かすことができない有能な技術者たちである。かつてソ連とその傘下の社会主義東欧であったころ、政府は教育に傾注して英才を選出して優秀なコンピューター技術者をたくさん育てた。ところが1989年のソ連・東欧の挫折により、激しい構造不況が続き、彼らは正当に働く場所を失ったのである。
 そんな背景もあって、これらの犯罪組織は興味深いことを示している。その犯罪性と順応性あるいは立直る力elasticityである。彼らが逮捕され、受刑して社会復帰したあと、正規に雇用してそのハッカーとしての経験と高い能力をサイバー犯罪の解決や予防に活用することが現実に一部で行われている。

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