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John P.Carlin "Dawn of the Code War"(18)

第2章 Comment Crew
2.4.中国のサイバー脅威の増加
 テロ対策の大波が収まってくると、中国のCyberattackがいかに凄まじいかを実感するようになった。毎日のようにアメリカの企業あるいは政府、軍のネットワークにハッキングをかけていることが報告される。Cyberattackのダメージを避けるために、ペンタゴンは1週間以上もネットワークをオフラインにすることさえあった。
 アメリカの民間企業は、Cyberattackしてくる中国以上に、FBIに対してフラストレーションを募らせていた。被害をFBIに届け出ても、何のリターンもない、何もしてくれない、どうしたら良いのかもわからない、一方的で何のメリットもない、というのである。彼らは、中国とのビジネスを今後どうしていくべきか、悩んでいた。企業は中国のCyberattackで盗まれたIPや技術で、将来中国企業にビジネスを潰されることを予測しつつも、あしもとの業績を確保して株主のために企業価値を上げることが必要であり、そのためには中国ビジネスを捨てるわけにはいかないという。
 中国はCyberattackを駆使してアメリカからIPを盗み出し、効率よく経済を向上しているが、冷戦期のソ連と異なり、アメリカと直接衝突することのないよう、慎重に、巧みに、おとなしそうに迫ってくる。中国のスパイ作戦は「千粒の砂作戦thousand grains of sand」である。巨大な人口を活かして、少しずつ長期にわたる盗みを積み重ねて、大きな成果を狙うのである。
 しかしアメリカは、そんな中国に対して黙り続けているわけには行かない。中国が実行していることは、従来国家間で許されていたスパイ・窃盗の範囲をはるかに超えている。アメリカの諜報活動は、それによって得た情報を民間会社の経済的利益のために提供することはない。これに対して、中国は、国を挙げて諜報活動して得た情報を、自国の私企業のために、自国のKey National Industriesのために利用しているのである。アメリカとその企業が長期間を費やし、多額の投資を行って蓄積した成果を、無償で盗んで短期間・コストフリーで経済発展に役立てているのである。歴史的には、中国以外にも自国のKey National Industriesを国が支援するケースは存在した。1990年代のフランスは、外国企業モトローラの幹部がエア・フランスのファーストクラスで移動したとき、着陸後に打ち合わせる内容を機内の座席に隠した超小型マイクで盗聴して、フランス企業に利益を供与した、とモトローラから訴追されたことがある。政府が関与する経済スパイの歴史は古いが、現在の中国は規模と範囲が格段に大きい。
 1999年5月7日のユーゴスラヴィア・ベオグラードの中国大使館へのアメリカ空軍の誤爆事件は、中国とアメリカの関係悪化の一因となった。中国は、兵士だけでなく情報技術者とラップトップ・パソコンを携えた市民を併用したアプローチの必要性を真剣に考えたのだろう。中国人民解放軍People’s Liberation Army (PLA)は、特定のKey National Hubのコマンド・システムとインフラを狙うacupuncture war(鍼灸のように痛みを抑えつつも効果がある闘い)作戦を始めたのである。
 江沢民は「インターネットは政治・イデオロギー・文化の戦場だ」と言った。「情報戦の目的は、戦略的には敵の戦意を破壊すること、戦術的には敵の電力システム網を停止すること」という。
 このような新しい戦争を闘うためには、アメリカ政府とFBIは新しい戦略が必要である。FBIも多くの人々は中国を敵にまわすリスクをとることに消極的であった。アメリカ政府もFBIもCybercrimeの個々の案件については理解できても、中国の脅威という範囲も内容もわかりにくいものに対しては認識を共有することが困難であった。このようなCyberattackへの対処については、時間がかかるだろう。こうして7年間以上が経過した。

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