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John P.Carlin "Dawn of the Code War"(26)

第4章 Qassam Cyber Fighters
4.4.Cybercrimeを法にもとづき処罰できるのか、アメリカ政府の苦悩
 そしてさらに奇妙なCyberattackが発生した。2013年夏、ニューヨーク州ライブルック市という田舎町の高さ7メートルほどのごく小さなダムの制御システムが、イラン系の在米ソフト会社にハッキングされたのだった。
 イラン系会社ITSecTeam社のHamid Firooziというネットワーク技術者が、このささやかなダムの制御ネットワークに侵入し、ダムの運用データである水位・水温・ゲート位置(水流調整)などを盗み出していた。ただ、偶然にもそのときダムはメンテナンス作業のために制御は切り離されてオフラインとなっていて、なんの支障も発生しなかった。
 しかしインフラのシステムに侵入されるという事態は、潜在的リスクは重大で、中国・ロシア・さらに北朝鮮などもやりたがっていることである。
 Firoozi以外にも6人、計7人がこの事件で逮捕され、手口は詳細に追跡された。イラン政府の関与は明確であった。この事件には、もう1社Mersad社も関与していたことが判明した。Mersad社は、ムハンマドの風刺画に対する抗議のために、西側諸国で活動することもしていた。
 イランのCyberattackは、単に不快なだけでなく深刻なスパイ活動である場合もあった。 おなじころ、軍事用のソフトと砲弾の製造をする従業員8人の小さな会社ArrowTech社が、前年からネットワークに異常を検出していた。連絡を受けたFBIは、3人のイラン人の関与をつきとめた。彼らは、ArrowTech社のソフトを、ネットワークを介して盗み出し、イラン系の会社のネットワークを経由してイラン軍に製品提供するテヘランのミサイル会社やイランの大学・企業に売っていた。このソフトは、軍事用であるため厳正な輸出規制があり、ソフトの起動にはハードKey(dongleという)が掛かっていた。ハッカーたちは、ソフトを変更してハードKey(dongle)を解除して商品にしていたのであった。この会社は、政府機関ではなく、政府から収入を得る民間のスパイ会社である。
 これらの2件のイランによるCybercrimeは、アメリカ政府とFBIにとって初めての十分な証拠を固めての法的措置を達成した案件であった。盗み・攻撃、なんであれアメリカに対する悪意の行為に対しては、どこの国であれ、個人であれ、グループであれ、必ずとことん捜索して捕まえなければならない。それはリアル空間でのテロや通常犯罪と同じく、Cyber空間でも同じのはずである。しかし、この考え方は現実には普遍的に受け入れられるわけではなかった。ホワイトハウスや州の部局から不賛成が出た。とくに外交部門やその関係者から、微妙な二国間の外交関係に複雑な陰を落としかねない、というものである。結局議論の結論は得られないまま、またも新たな問題が発生した。

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