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John P.Carlin "Dawn of the Code War"(31)

第5章 APT1
5.4.中国からの脅威の連鎖
 スノーデン事件で思わぬ窮地に立たされたが、その最中にも中国からの脅威はアメリカを襲い続けていた。2013年6月、中国系のSinovel Wind Group社のアメリカ企業AMSC社からの企業秘密詐取事件が起訴された。AMSCはSinovelと共同事業を合意・契約し、Sinovelが製造するWind Farmsの制御ソフトをAMSCが提供した。AMSCは、すでに多くの企業で中国の会社から企業秘密を詐取されて困っていることを知っていたので、提供するソフトには厳重なロック機能を付加していた。そのロックは、AMSCのなかのごく限られた従業員のみがアクセスできる、というものであった。ところが2011年1月、Sinovelは未払金$100Mと契約していた事業資金$700MをAMSCに支払わないまま、突然契約を一方的に破棄した。3か月後に、Sinovelが制御ソフトを盗んだうえ、AMSCのオーストリア人従業員を買収して、制御ソフトのロック機能を解除していたことが判明した。Sinovelは、その従業員に破格の給与と女とアパートを与えていた。AMSCのダメージは大きく、900人の従業員のうち600人を解雇しなければならなかった。Sinovelと事件に関与した従業員は犯罪として起訴された。そしてこの事件の背後に中国人民解放軍PLAのハッカーがいて、裁判の経過を盗み取っていたことがCrowdStrikeというセキュリティー会社によって検出された。中国政府のハッカーは、アメリカの会社と裁判に関わる法務部門をハッキングし、訴訟をも有利に進めようとしていたのであった。
 この事案のすぐ後にも、中国の経済スパイの事案が発覚した。巨大企業DuPontから白色顔料の原料である酸化チタニウムのクロライドを用いた製造法が中国系企業に盗まれたのである。USA Performance Technology Inc.という中国系企業とひとりの個人が起訴された。この技術は、20年以上の時間と莫大な投資により開発された技術で、ビジネスも$2.6Bにのぼる莫大な規模の経済スパイの案件である。
 携帯電話などのハイテク電子機器にひろく応用されているFBAR (Filmed Bulk Acoustic Wave Resonator)を、その世界的トップメーカーであるAvago Technologiesから盗み取ったWei Pangという中国人がいた。FBARは、AvagoのDr. Rich Rubyがlife workとして発明・開発した製品であった。Wei Pangとさらに2人の中国人は、大学院生として10年ほど前にアメリカに渡り、Wei Pangは南カリフォルニア大学、あと2人はそれぞれ別々の大学に学び、そのあとまた別々のハイテク企業に就職した。そして転社した何社目かでWei PangはAvagoに入社し技術者として勤務したが、あるときこの勤務先からFBARの技術を盗み出すことを決心し、あとの2人と結託して実行した。3人は、職場のパソコンやメールでなく、個人のメールでやり取りしてAvagoのDr. Rich Rubyがlife workとして生涯かけて開発したFBARの技術を盗み出して3人で連携して露見しないように、複雑な多国間のネットワークを経由して中国天津の天津大学まで届けた。天津大学は盗み出した技術を用いて、国が支援する開発プロジェクトとしてFBARを実現して特許も申請・獲得し、中国で製造できるようにしたのであった。アメリカへの留学生の約3分の1は中国からきていて、経済スパイを養成しているという側面が否めないのが実情である。

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