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John P.Carlin "Dawn of the Code War"(45)

第9章 Fake News
9.4.アメリカ大統領選挙に対するロシアのCyberattack
 2016年9月、ロシアがアメリカ大統領選挙に対してCyberattackをかけてきた。民主党全国委員会Democratic National Committeeとクリントン選挙運動委員長Clinton Campaign Chair John Podestaがターゲットとなった。クリントン候補の電子メールが大量に盗まれ、さらに州レベルの投票システムに侵入した。これは国家的インフラへのCyberattackであったが、アメリカでは未だCritical Infrastructureとテクニカルに指定していなかった。
 これはロシアの重大な挑戦であった。しかし振り返ってみれば、プーチンは大統領に復帰以来、攻撃的・積極姿勢に一貫していて、NATO, EUに対する反発・牽制からか、イギリスのEU離脱の国民投票にも関与が疑われていた。プーチンは、西側の民主主義を弱体化する目的で、Cyberattackを仕掛けたということは、十分考えられた。民主主義のオープンさopennessがつけいられる弱点だった。プーチンのこの行為はアメリカにとって、かつてないレベルの外交的いやがらせharassmentであった。
 2014年のソチ冬季オリンピックのころから、ウクライナの東部地域がロシアに侵攻されてクリミア半島がロシアに併合され、マレーシア航空の旅客機が襲撃を受けて墜落し283人の犠牲者が出ていた。いずれの場合も、いかに明確な証拠が突き付けられてもロシアは関与を否定した。
 サイバー空間におけるロシアの態度は、Zeus事件とYahooハッキング事件のあとますます悪くなり、ウクライナでは実戦の裏側で広範囲にCyberattackが行われていた。
 2016年のアメリカ大統領選挙にかんするロシアの介入にたいして、どのように対応すべきかが難しい問題であった。事件の内容の詳細を知り得たのは、当時の政権与党であった民主党側であり、その体制下の官僚が問題を取りあげることは複数政党制のもとでやりにくいということ、そして問題を公表することでアメリカが分裂すると、それはロシアの目的からみてロシアを喜ばせる結果となること、が懸念された。
 結局、今後はこのような時にどのように公表して対応すべきか、前もって与野党含めて協議して決めておく必要がある。基本は、①証拠を集め、②公表し、③事態に適合した対抗手段を決定して実行する、ということである。
 大統領選挙が終わったあと、12月29日オバマ大統領は、ロシア外交官の国外退去を命じ、ロシア関連施設の閉鎖を宣言した。SONY事件のあと北朝鮮に対して実施したと同様な処置をしたのであった。
 2017年の春には、ロシアはあらたにNotPetyaと呼ばれる身代金ソフトransom-wareを用いて、アメリカの会社を次々に襲撃した。運送会社FedExは$300M、製薬会社Merkは$310M、広告会社WPPは$15Mの損害を被った。ロシアのプーチンは、オンラインの大悪党といえる。
 2017年、FBIはスペイン国家警察と連携して、ロシアの名うてのスパム・ハッカーであるPeter Levashovを逮捕した。彼は長らく逮捕できないロシア内にいたが、このときは休暇でスペインに来ていたのだった。現在、ロシアのハッカーで指名手配されている者を連ねて記載した本がある。しかしロシアにいる限り逮捕できないのが今の現実である。[完]

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