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Niall Ferguson,”The Square and the Tower”(6)

3.印刷技術と革命とネットワーク
(1)グーテンベルクの印刷機と宗教改革
 イベリア半島(ポルトガル、スペイン)の人々が大航海時代をむかえていたころ、中央ヨーロッパでは宗教改革が進行していた。
 印刷技術そのものは、15世紀よりはるか以前から中国に存在していたが、15世紀のグーテンベルクの印刷機の歴史的衝撃ははるかに甚大であった。それは、宗教改革と結合したからであった。ルターの宗教改革も、もしグーテンベルクの印刷機が登場しなければ、ほんの少し前のチェコのヤン・フスとおなじ運命にとどまったであろう。
 ルターは、宗教のみならず印刷技術を駆使してコミュニケーションを抜本的に変革したのである。1440~1450年ころ、印刷機の登場でまったく新しい経済セクターが創生され、印刷物でなく印刷機そのものがマインツから同心円的に急速に普及して、ルターの文章が北ヨーロッパに急速に拡散して、強かなネットワークが拡大し、それに比例してプロテスタント人口が増加し続けたのであった。メアリー1世の厳しい弾圧や執拗な反宗教改革の運動にも関わらず、新しい印刷技術を組みこんだプロテスタントのネットワークは大成功した。


(2)宗教改革の経済への想定外の影響
 ルター革命の後、プロテスタントが普及した国は経済的に大きく発展した。それはルターの意図を超えて、宗教改革が人的・経済的資源を宗教から世俗に移動させたからである。ドイツ、そしてとくにイギリスで、教会を建設するよりもビルや学校を建設するようになり、そこで学んだ学生がキリスト教関係の仕事より世俗的活動に向かうようになった。つまり宗教改革で、精神と社会と生活の世俗化が急速に進展したのであった。
 この背景には、印刷技術の発展・普及による本の著しい普及があった。1400~1500年の100年間に、イギリスでは本の価格が10分の1になった。こうして数学などの自然科学をはじめ製造技術、経済学などさまざまな世俗的知識が普及した。ヨーロッパは長い間ローマを中心とするキリスト教文化(「すべての道はローマに続く」)であったのが、ネットワークを基礎とする世俗的文化に取って代わったのであった。

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