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Niall Ferguson,”The Square and the Tower”(10)

5.イギリス帝国の発展
(1)間接統治と民間活用
 イギリス帝国の統治方法には、大きな特徴があった。イギリス帝国は、植民地支配において、現地の既存の統治体制を尊重して活用し、さらに現地の教育ある新しいエリートよりも旧式の伝統的政体になじんだ既存のエリートを使用することで、最小のコストで統治する方法を採用した。これはフレデリック・ラガード(Frederick Lugard)の「二重統治論 Dual Mandate」と呼ばれるもので、現地人を支配者として間接的に統治することで、コストを抑制できるとともに反乱も防げるというものである。
 イギリスは、交通(鉄道・海運)、通信(陸上通信・海底ケーブル通信)のそれぞれのネットワークを構築し、ヒト・モノ・情報の交通・運搬・伝達のコスト・時間・実効距離を格段に縮減して独占し、それはイギリス帝国の大きな強みとなった。植民地マレーシアのゴムを海底ケーブルの被覆に使用するなど、19世紀の世界的帝国のメリットを最大限有効活用したインフラ整備であった。
大英帝国のスケールと持続の主因は、比較的中央の支配が緩やかであったこと、原理的には強力なヒエラルキーだが、ローカルと民間を積極的に活用するなど、ネットワーク的活動を阻害しなかったことが、大成功の秘訣であったと考えられる。
ドイツは大学・学会の構築において、プロシア軍と似た中央集権的な制度を採用し、それぞれのトップは独裁者のように振舞うことができた。しかし結果として、イギリスに勝ることはできなかった。イギリスのエリートは、相対的にオープンで、貴族は鉄道や海運に投資し、銀行連合の経営にも参加した。ユダヤ人の子弟とも結婚し、アメリカ人とも同様につきあった。このようなオープンなネットワーク的文化がドイツと異なるところであったが、ヨーロッパをドイツよりさらに東に行くと、さらに保守的・伝統的な文化=ヒエラルキーのみの文化に覆われていた。

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