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Niall Ferguson,”The Square and the Tower”(17)

8.二つの世界大戦のあと
(1)冷戦下の長い平和と局地紛争の時代
 第一次世界大戦で、4つの帝国、すなわちロマノフ、ハプスブルク、ホーエンツォレルン、オスマンが崩壊し、言語と民族の統一性を主張する新しい中央集権的な強力な民族国家群が叢生した。
 第二次世界大戦の後には、かってない高みのヒエラルキーが形成された。そして冷戦体制が続いて、二大陣営間の大戦争は回避され、たしかに平和な時代といえた。しかし、開発途上国に目を移すと、現実はまったく平和ではなかった。アフリカ、アジア、ラテンアメリカなどである。これらの地域では、ドミノ的に暴動や反乱が発生し、伝搬した。かつて植民地であった地域が、相次いで独立したが、果たしてその結果はかならずしも幸福であるとは限らなかった。アイゼンハワーが言うJungle Warfareという状況であった。
 イギリスはふたつの世界大戦に勝利し、生き残った最後で最大の帝国であったが、1970年代にはヒエラルキーによるアプローチがことごとく不首尾に終わるようになり、混迷と低迷の時期を迎えた。ハイエク(Friedrich August von Hayek)は、アダム・スミス(Adam Smith)を引用して、複雑な世界では、もはや予め計画したことは実現できなくなった、と指摘した。そして1951年にはウェブスター辞書にGlobalizationという単語が現れた。世界は、民営化(Privatization)とグローバリゼーション(Globalization)へ舵を切り始めた。
 冷戦下で活躍したひとりがキッシンジャー(Henry Alfred Kissinger)である。彼は博士論文に「政策の精神と官僚制の精神とは、完全に相反する。政策の本質は不確実性であり、その成功はある程度の不確実性を含む推測の正しさにかかっている。対して官僚制の本質は安全性の追求であり、その成功は算定可能性にかかっている。官僚的に政策を進めようとすれば算定可能性を追求せざるを得ず事象のみにとらわれることになり、ほんとうに必要なこと、大切なことがなにもできなくなることがある。政治の意思決定は、そういうものであってはならない」と書いていた。彼は、1969年からソ連側の要人と、インフォーマルな個人的ネットワークを積極的に構築していった。公式の外交チャネルよりも、得るものがはるかに多いと判断したからであった。それは極めて有効かつ型破り(違法を含む)のネットワークであった。チェコのイネイダレク(Josef Šnejdárek)とは、来るべきプラハの春について二人で深く話し合った。さらにニクソン電撃訪中の4年前のこのときに、すでに中ソ分裂、米中接近を話し合っていたのであった。冷戦体制の確立で第三次世界大戦のリスクが減少し、デタントに則った外交がより重要となった。
 折しも世界的なエネルギー危機が、国際協調を促した。The Challenge of Interdependenceは、1974年のニクソン大統領のスピーチのタイトルであった。
 一方で機密情報がリークされると、民主国家ではメディアによって直ちに公開されてしまうようになった。そして、世界中で大学紛争、人権運動、アフリカ系アメリカ人たちの差別撤廃運動、ベトナム反戦運動、などにつながっていく。

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