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鏑木清方展 京都国立近代美術館(3)

第2章 本郷龍岡町・金沢遊心庵にて─大正時代
 清方は、大正期には結婚して本郷龍岡町に移転した。そして大正9年(1920)には、かねて風景や環境が気に入っていた横浜市金沢に別荘を建てて遊心庵と名づけ、活動のもうひとつの拠点とした。Photo_20220813070701
 このころは、浮世絵師の水野年方に若くして師事しつつも、必ずしも浮世絵らしくもなかった自らの画風の立場から、再度浮世絵を研究した時期であったという。その例として「墨田川舟遊」(大正3年1914)という作品がある。
 そして近松門左衛門「冥途の飛脚」の歌舞伎のシーンからとった「薄雪」(大正6年1917)がある。傾城梅川に入れあげて、預かった為替金を使い込んでしまった忠兵衛は、追手を逃れるために大和国新口村に父を訪ねて来る。それを追って梅川が来て、新口村で忠兵衛と再会するというシーンである。女性の美だけでなく、その心象までしっかり描きこむ清方の特徴がいかんなく現れている。
Photo_20220813070801  「水汲」(大正10年1921)がある。化粧した美人ではなく、懸命に働く若い女性の労働と、その合間のほっとしたひとときの一瞬を、見事に描いている。清方は、美人画の大家ではあるが、この例のように関心は美しく化粧し着飾った姿だけでなく、日常的で健康的な美に対しても向けられていた。ここでは、人物だけでなく、人物を囲む自然、気候、天候などが丁寧に描かれている。
 「社頭春宵」(大正12年1923)がある。神社の入り口付近の、なんでもない描写であるが、灯篭の薄明りに浮かぶ梅の花、手水場の景色、そしてそこにたたずむなにかわけありげな女性が描かれている。これも春の暖かさ、優しい夜の光、場面を引き締める女性の存在、と豊かな風景の描写のなかに、控えめに描かれた人物が主題を引き受けるという、風景と人物のハーモニーが見られる。「木場の春雨」(大正12年1923)も同様に、人物とその周囲環境、季節の表現などの全体としての調和が美しい作品である。Photo_20220813070901
 また、これらの背景描写にも関係するのだろうが、人物のない純然たる風景画も研究していたらしく、「金沢三題」(大正8年1919)の連作や、「暮雲低迷」(大正9年1920)などの重厚な風景画を残している。

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