2024年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
フォト
無料ブログはココログ

« エゴン・シーレ展 東京都美術館(5) | トップページ | エゴン・シーレ展 東京都美術館(7) »

エゴン・シーレ展 東京都美術館(6)

シーレの風景画
 自画像や女性を描いた作品が多いシーレだが、風景画作品もある。Photo_20230522072601
 「吹き荒れる風の中の秋の木」(1912)がある。先に述べたように、シーレは1911年の秋から、恋人ヴァリとオーストリアの小さな美しい町、ノイレンバッハに住んでいた。その風景は、シーレの母の出身地、チェコのクルマウのように、シーレに印象的な風景画を描かせた。
 この作品では、樹木というよりもブドウの蔓のようにきゃしゃな植物を描いている。枝は灰色がかった空から現れ、絵の表面全体に広がっている。
  ルドルフ・レオポルドは「このように不釣り合いな多量のグレーで描かれ、繊細なニュアンスを備えた優しさを持つ作品は前例がない」と述べ、空の独特の色彩効果に注目している。
 自由度の高い構成は、自然をほぼ抽象的な構造に変換してしまっている。同時に細い枝の激しい動きは、シーレの擬人化された自然観を反映している。
Iv  シーレは、しばしば自然界における人間の特性を観察していた。たとえば1913年に書かれた手紙で、彼は次のように書いている。
 「植物は、人間の体と同様の動き、喜びや悲しみと類似の感情を彷彿とさせる」
 その2年後には「モルダウ河畔のクルマウ(小さな街IV)」(1914)という作品を制作している。クルマウ(現在のチェコのチェスキー・クルムロフ)は、シーレの母親の故郷であり、シーレも何度か訪れた町であった。この作品では高い視点から、家々がひしめく町全体を平面的にとらえている。小さな窓やアーチのある壁に、帽子のような屋根を頂く家並みは、そこはかとなく中世の風景を連想させる。シーレの風景は押しなべて静謐で、暗い色調の作品が多いらしいが、この作品は構図や色彩にリズムがあり、おとぎの国のような軽快な雰囲気が漂っている。Photo_20230522072701
 シーレではないが、彼に深く影響を与えたグスタフ・クリムトの風景画が展示されている。「シェーンブルン庭園風景」(1916)である。
 グスタフ・クリムトこそは、ウィーン世紀末美術のもっとも重要な画家とされる存在である。保守的なウィーン画壇に対抗すべくウィーン分離派を創設し、官能的な女性像や、建築や工芸といったジャンルを超えた表現を通して、新しく自由な芸術を模索し続けた。1907年ころにシーレと知り合ったクリムトは、若い画家を理解し、自身のコレクターたちに彼を紹介した。1908年から1909年ころのシーレの作品には、正方形のカンヴァスや、背景の装飾的な表現などに、クリムトの影響がみてとれるといわれている。

人気ブログランキングへお気に召せばクリックください

« エゴン・シーレ展 東京都美術館(5) | トップページ | エゴン・シーレ展 東京都美術館(7) »

美術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« エゴン・シーレ展 東京都美術館(5) | トップページ | エゴン・シーレ展 東京都美術館(7) »