MINERVA2023展覧会 京セラ美術館(7)
さまざまなコラージュあるいは造形
今回展示されていたもののなかには、これまであまりみたことがないようなコラージュ作品があった。
たとえば「果報」野村磨結がある。絵画の額縁を土台にして、黒色の針金で造形を立体的に構成している。
背景は漆喰のような白色のみで、その上に黒一色の針金が這い回っている。「果報」というポジティブなタイトルなのだが、全体の雰囲気としては、そこはかとない不気味さあるいは不安が醸し出されている。ただの針金というには、動きも強かさも、それなりのエネルギーも感じられ、みごとな造形だと思う。
なんめん よしこ「鳳凰」も目についた。かなり大きな造形だが、古新聞紙で造られているという。
この力強さ・勢いと繊細さと存在感は、観る者に強いインパクトを与える。なかなかおもしろい作品だと思った。
以上、ここで取り上げたもの以外にも、一見花瓶のように見えて、実は口がなくて花も水も入れることができない陶器の造形や、布と造花とのコラボレーションによる生け花風の造形、夜光貝をはめ込んだ絵、などなどいろいろ興味深い、おもしろい作品があった。
私がいつも観ている個展あるいは特集展と異なったのは、作品のヴァラエティが大きかったことと、一方でかなり特異な、しかし同時に比較的わかり易いものが多かったことであった。
日本の若手アーティストたちが、元気で活発に活動していることをあらためて実感できた、という点でも芸術界の活気を感じる楽しい鑑賞となった。
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