京都国際写真祭2023(3)
【1】京都芸術センター会場
小池貴之 シベリア鉄道
小池貴之は、北海道に生まれ、立命館大学工学部を卒業の後、写真メディアに関わった写真家である。時間や場所の歴史あるいは記憶を、モノに定着させようとする作品を目指しているという。写真技術としては、ゼラチンシルバー、鶏卵紙、湿板写真などのアナログ技法にこだわりを持つ。
今回展示している「シベリア鉄道」は、2018年ウラジオストックからモスクワまで6000キロメートルを、一度も途中下車せず6泊7日で移動した記録である。
写真はすべてモノクロームで、ライカというドイツ製カメラにロシア製のレンズを装着し、アメリカ製のフィルムを使って、日本人の小池が撮影している。この撮影行動には、かつての戦争での宿敵同士の融和・和平の意味を込めているという。概して、このアクションは、ロシア人などの外国人に好評であったという。
列車のなかには、当然ながら老若男女、さまざまな国籍・人種の多様な人々が居合わせた。
彼がこの鉄道の旅で出会った人たちは皆気さくで、初対面にも関わらず、国籍・人種が異なっても仲良くなれたそうである。ロシアが、多民族国家であることも関係しているかも知れない、と。
シベリアは夏の日中は半そででも暑いが、夜は10℃以下まで下がりずいぶん寒い。でも明け方の車窓からの景観は、霧が風景を覆いつくして、とても美しい。
2022年からロシアのウクライナ侵略戦争が始まっていて、日本とロシアの関係も簡単ではない。それでも、ロシア人すべてが邪悪なわけでないことは、小池が言うまでもなく当然のことである。その一方で、ロシア国家と、その侵略行為の政治責任はまた当然ながら免れるものではない。
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