京都国際写真祭2023(4)
【1】京都芸術センター会場
李卓媛 If Tomorrow never comes
李卓媛Sharon Leeは、1992年香港に生まれた、写真を中心に多面的に活動するアーティストである。歴史、文化、アイデンティティに関する記憶をテーマに、イメージ、オブジェ、テキストを制作する。
If Tomorrow never comesすなわち「もし明日がこなかったら」をテーマとして、作者自身の家族や友人を被写体としている。
もし明日が来なかったら、その時は今日をがんばろう。明日からあなたを忘れないために、私はカメラに変身する。あなたがくれた昨日の名残り。あなたのために、私はこれで、ポートレートを撮る。明日につながる一枚を。
撮影者・カメラ・そしてモデルという三者が生み出す力学を、解体させたい。そのために、レンズを使わず露光時間が著しく長いピンホールカメラで、信頼、眼差し、そしてコミュニケーションにもとづく関係性のポートレートを生み出したい。決定的瞬間などというものを避けるために、長い露光時間は有効である。
最初は、なぜこんなビンポケの写真を、と率直に当惑したが、被写体の外観に拘束されずに、その人格、その相手との関りと思い出、自分との関係性、時間の積み重ね、などなど多様なものを個人的記憶の一部ないし手段として記録するアプローチと捉えるなら、きわめて主観的で個人的な作品という限りにおいて、こういう表現方法もあり得るかも知れない、と思った。
この作者がいる香港は、まさにアイデンティティの大きな危機を迎えているのだろうから、この作者のアクションも切実な響きを持っている。
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