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「少女たち-夢と希望・そのはざまで」展(3)

笠木治郎吉の独創的な水彩画
Photo_20231101060301  笠木治郎吉(文久2年1862~大正10年1921)は、明治から大正にかけて横浜で、日本人の風俗を描いた水彩画家であるが、その生涯については、詳しいことがわかっていないようだ。石川県に生まれたと言われる笠木治郎吉は、少年期に単身横浜に移り住み、ワーグマンや五姓田芳柳らの影響を受け画技を磨き、一時欧米に渡ったとも伝えられている。
 今あらためて観ると、その卓越した描写力と表現力に、時代を超越した優れたものをみるが、彼の活動していた時代の日本には、絵画の流通市場がまだ成熟していないため国内に買い手が見つからず、その作品の優れていることを認める外国人がよろこんで買取り、作品は国外に流出したらしい。さらに、残った作品や下絵の多くは、関東大震災で焼失した。笠木治郎吉の作品は、近年、コレクターや親族によって世界各地で発見され、徐々に里帰りしつつある。
 現在30点余りの作品が確認されているが、いずれも水彩画である。ただ水彩画といっても、油彩を思わせる濃厚な彩色と細部まで描きこまれた緻密な表現力が、明治の美術界屈指とされる。私もまえに、この画家の提灯屋の絵をみて、なかなか見事だと感心したことを覚えている。Photo_20231101060401
 「花を摘む少女」(明治末ころ)は、一面に咲き誇る花が立体的に表現され、そのなかに入って、花を切り取る少女のまぶしく光る白い腕と、実際に花を切り取るべく鋏を握った自然な手の形、ふと画家のほうを見つめる少女のしっかりした表情、作業のためにかたく帯をしめた活動的な姿勢、など、色彩表現も構図も、油彩の大作のような迫力と気品がある。
 「蓮池の少女」(明治末ころ)では、蓮の花がさきはじめる初夏に、沼に入って蓮を刈る少女と、船に乗って見守るもうひとりの少女が描かれている。梅雨時の湿った空気感、快活な少女の表情と動き、沼の濁った水が少女の脚にからむ微妙な様子まで、とても丁寧に表現されている。表現の細密さと緻密さは、まさに優れた油彩を思わせる。

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