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一水会 第84回展覧会

 会社勤務時代の友人が入選して、この展覧会で展示されているというので、秋晴れの快適な日、兵庫県立美術館の会場まで出かけた。
 会場はギャラリー棟3階のギャラリーで、かなり広いスペースを用いた展示であったが、思った以上に盛況でかなりの鑑賞者で賑わっていた。あとでわかったことだが、展示作品の作者も多数いたらしい。
 まず目的の作品を鑑賞した。「雲ノ平の夏」という油彩である。Photo_20231119060201
 富山県飛騨山脈の景観を静謐に描いた作品である。険しさとともにそこはかとなく柔らかみと優しさがあって、観る者を突き放すような山ではない。山の前景にうねりをもって拡がる緑の広がりが、この地の豊かさを表わしている。この緑が、樹木なのか、草地なのか、少し判然としないが、観る者を癒す安らぎがある。丁寧で上品で精緻な筆致である。
 会場の一角には「一水会について」という掲示がある。
 「創立の精神」として、西洋絵画の伝統である写実の本道を守り、安易な会場芸術を非とし、技術を重んじ、高雅なる芸術をめざす、とある。
 「命名の由来」として、清朝初期の技法書「芥子園画伝」のなかの「十日一水五日一石」という語句から採ったもので、石井柏亭の発案により入念な作画態度を示すという意を含み「一水会」と命名された、とある。
 たしかに展示作品はいずれもポップアートのような作品ではなく、丁寧な技術を駆使した写実中心の作品ばかりである。ただ、抽象的表現を全面的に排除するもりではないらしい。
 この日は展覧会の開幕日であったこともあり、一水会代表山本耕造氏と運営委員玉虫良次氏の二人の一水会幹部の画家によるギヤラリートークが、1時間半余りにわたって実施された。
 ギヤラリートークでは、2名の幹部が来場者を2つの班に分けて、会場を半分ずつ担当して、個別に展示作品を前にして論評していく。展示作品全部というわけにはいかないので、一点3~5分程度という原則で、居合わせた作者からのリクエスト優先で進めていくものである。
Photo_20231119060202  私は、山本耕造先生の班で聴講した。内容の概要は下記であった。
・まず自分がなにを描きたいのか、目的・方針・主要ポイントをはっきりしておくのが良い。描き上げた後で、それらの自分の意図がうまくいっているか否かを自分で評価して考えることは良い反省になる。主張したいポイントは唯一でなくてもよいが、複数のテーマが競合するのは望ましくない。なにが一番のポイントであるかの自覚と表現は大事である。
・訴えるためには、大きく描く、濃く描く、明るく描くなどではなく、絵の構図こそが重要で決定的である。
・写真を用いて描くことも多いと思うが、自分の眼で直接観たことを大切にする必要はある。実物に直接対峙したときの対象のニュアンス、奥行き感、印象の強弱などは、写真とは違うことが多い。光や色の濃淡、明暗などは、写真とは違うと思った方が良い。
・絵を引きしまったインパクトのある表現にしたいとき、思い切って省略することを考えることも大切である。そのためには強調すべきものと省略してよいものとを、よく考えて選別する。
・絵の背景は、安定感の獲得、訴求点への誘導、立体感の表現、などの重要な要素にとって影響が大きく、実はとても重要である。
・描く対象は、有名なもの、高級なものなどだけでなく、何でもない身近なものでも、立派に美の対象となり得る。
・絵を描くときには、ミクロな見方とマクロな見方の両方から自分の絵の出来栄えを観察することが大切である。一生懸命熱中してミクロな見方のみでしっかり描き込んでも、マクロに見直すと単調になったり、平面的になったりしていることもある。絵全体の色の偏りが、意図していないような傾向なら、改める必要がある。
・自分の感覚に自信をもって、ときには大胆に多少抽象的な表現を取り入れるのがよい場合もある。
・絵のサイン(記銘)は、実はとても大切であり、きっちりきれいに書くことが大切。
 コメントは、優しい口調であくまで強制的でなく、すでに入選した作品ばかりなのでその優れた点も必ず指摘があり、あたたかい批評である。
 以上のような注意ポイントは、私のような自分で絵を描かない者にとっても、とても参考になる。
 思いがけず長時間会場に滞在することになったが、充実した時間であった。

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