「わたしのいる場所─みるわたし」兵庫県立美術館コレクション展(3)
2.女性と生活
ユタカ順子「あの窓のそばで」昭和43年(1968)がある。
ユタカ順子は昭和12年(1937)兵庫県西宮市に生まれ、昭和33年(1958)武庫川学院国文科を卒業した。その年に初の個展を催した。マクダウェル・コロニー・フェローシップによる渡米を経て、関西を中心に精力的に政策を続けた。この兵庫県立美術館の前身であった兵庫県立近代美術館の公募展に多数出品した。平成6年(1994)には亀高文子記念兵庫県文化協力会赤艸社賞を受賞した。
この絵の、椅子や草花はいずれもユタカが好むモチーフであり、ユタカの絵は、背景とモチーフが入り混じる、いささかシュルレアリスムの風情の表現である。ユタカは「私の絵は、私から私への手紙である」と語っていたという。
奥村リディア「エネルギー・アンサンブル」平成4年(1992)がある。
奥村リディアは昭和23年(1948)サンパウロにブラジル移民の子として生まれ、1973年アルマンド・アルバレス・ベンテアード美術大学を卒業した。美術集団"Equipe3"に所属して活動したが、このグループは1973年サンパウロ・ビエンナーレでサンパウロ文化庁賞を受賞した。
1970年代には個人の制作活動においても、ドローイングや針金・糸などで空間を分割して構成するインスタレーション作品を発表した。
「エネルギー・アンサンブル」は、力強い色面がエネルギッシュに空間に展開するもので、モチーフの分割と再合成が特徴である。
奥村リディアは、1974年に渡米し、ニューヨークでミニマル・アートやコンセプチュアル・アートなどの芸術活動で知られる彫刻家ソル・ルウィットの助手を勤めながら活動した。1978年国際交流基金の奨学金を得て日本に滞在し、その後はニューヨークとブラジルを拠点として活動している。メトロポリタン美術館や原美術館などにも作品が収蔵されている。
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