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気分の晴れない日日

 6月22日に国会が閉会したことを受け記者会見を開いた石破首相は、「今日より明日はよくなる」と実感できる日本を実現させたい、と宣言した。今年1月には「楽しい日本」を目指すと言っていたが、まあ類似の発想なのだろう。
 2040年に名目GDPを1000兆円に引き上げる、平均所得を5割以上増加させる、を改めて自民党の参院選公約の目標に掲げた。これらを実現するため「今日の悩みを取り除く」「明日への不安を払拭する」「希望ある未来を創る」の3つのアプローチで政策を推進させると訴えた。しかしこれらは具体性のない目標の羅列に過ぎず、到底「政策」とは言えない。誰しも「結構なことですね」と思うだけである。どうやってそれらを達成するかの具体的行動こそが肝要である。
 石破首相は、賃上げや物価高対策、アメリカによる関税措置への対応や社会保障改革、肝入り政策である地方創生などに注力していくという。その上で「まずは既存の予算、施策、それを総動員して的確な経済財政運営を行っていく」と言うのだが、これらも石破さん得意の「○○(に向けて)マイリタイ」に過ぎず、具体性のある政策には至らない。希少な具体的な政策は、国民一人ずつ2万円給付のようだが、アクションとしては小さ過ぎて、高邁な目標との関連は見えない。いまのところ大きな目標実現のためにはどこが問題でなにが打開策なのかは不明なままである。
 あれほど「アジア版NATO」などと夢想を吹聴していたのに、実在のNATO会議には欠席というのも情けない。これこそ外交的「熟議」の大きなチャンスだったのに、世界のリーダーたちからは、熟議を避けて逃げていると見られるであろう。
 直接の責任主体でなかったときに鋭く政治の現状を批判できた石破さんは、馬鹿でも不誠実でもないとは思う。「きちんとした行動してるのに、なぜ酷評ばかりされるの?」と身近なヒトに嘆いているらしい。責任のない評論として批判はできても、責任を引き受けて実現するのは容易ではない。政治は簡単ではない、という本来政治家には簡単な真理が未だにわかっていないのかも知れない。すでに願望的な目標を公約として掲げ、その結果「政治ドットコム」からは、公約達成率ゼロという厳しい評価を得る結果になっている。
 そしてなにより政治家はヒトを動かそうとするなら、見た目の雰囲気は決定的に重要である。疲れ果てて夢も希望もない暗い表情で、「今日より明日はよくなる」「希望ある未来」などと発言しても、到底響かないし説得力はない。「このヒトがわが国の首相であることが誇らしい」と思う国民が沢山いるのが正常な状況のはずである。せめてどこに出しても恥ずかしい、と思われることのないようになんとかしていただきたい。
 昨年の石破政権の衆議院選挙惨敗の直後、英誌エコノミスト(2024年10月28日付)は「有権者が連立与党に歴史的な一撃を与えた。しかし自民党は政権にしがみつく可能性がある」「選挙後の混乱からどんな政権が誕生しても、構造改革や防衛力増強のための増税など不人気な課題に取り組む可能性は低いだろう。安倍首相の下、日本が世界的なリーダーシップを発揮していた時期も終わりを告げるだろう。日本政治の次の段階は波乱に満ちたものになる」と記していた。イギリスでは、かように冷徹な観測をしていた。それからすでに8か月が経過したが、エコノミスト紙の予測は着実に現実化する一方で、石破さんが説く「今日より明日はよくなる」気配は皆無のように感じる。
7月の参院選は、石破さんの3連敗となる可能性もあるが、もし参院での与党過半数をなんとか維持(参院選の自民党改選議席は少なく1/4減っても過半数は維持可)しても、石破さんの茨の道は続く。そもそも惨めな少数与党をもたらしたのは石破さん本人であり、その石破さんを首相に選出したのは自民党なのである。なによりその茨の道でいちばん被害を受けるのは、われわれ国民なのである。

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