パウル・クレー展 兵庫県立美術館(2)
第1章 詩と絵画
若き日のパウル・クレー
1906年26歳のとき、クレーはリリー・シュトゥンプフと結婚してミュンヘンで新婚家庭を持った。そのころにリリーの肖像画を描いている。
それに先立つ1905年クレーは、初めてパリを訪れてパリの多彩な画家の作品に触れた。当時、線描的な表現から明暗の表現に進もうとしていたクレーにとって、色鮮やかな印象主義より、明暗の関係を巧みに操るマネやホイッスラーの絵画に強い関心を持った。この時パリで観たホイッスラーの作品「灰と黒のアレンジメント」の構図と表現は、この「リリー」(1905)の肖像画に影響を与えているという。
「座っている少女」(1909)が展示されている。
色彩を取り入れても独自の表現を獲得しようと、クレーはこの作品において大胆な方法を取り入れた。最初に具体的な対象を描いてから彩色するのではなく、先ず美的な感覚に基づいて即興的に色彩の斑点の集合を画く。そのなかに「座っている少女」の姿を読み取り、それを輪郭線と明暗によって浮かび上がらせるという方法である。クレーは日記のなかで、この方法を幼少期に大理石のテーブル面のなかにいろいろな形を見つけて遊んだことと重ね合わせている。クレーはこの作品を特別に思い入れがあるものとして、非売品として手元に残していたという。
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