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日記・コラム・つぶやき

ニュースパーク(日本新聞博物館)

 横浜情報文化センターに「ニュースパーク(日本新聞博物館)」を訪れた。このような博物館は関西には無いので、ぜひ一度見ておきたいと思ったのである。
 横浜情報文化センターの2階と3階がニュースパーク(日本新聞博物館)となっていて、2階では「2019年報道写真展」が開催され、3階が常設展示室となっていた。
 「2019年報道写真展」は、過去1年余りの間のさまざまな出来事の報道写真を選抜して展示するもので、何点かの表彰作品がある。2019年は令和元年の新天皇即位と、秋の台風19号の水害が代表的なトピックであった。ラグビー・ワールドカップの日本チームの大健闘は明るい話題であった。大坂なおみ選手の全豪オープン優勝と渋野日向子選手の「AIG全英女子オープン」優勝も日本をおおいに明るくした。一方で沖縄の首里城が消失したのは悲しい事件であった。報道写真を観ると、事件の決定的瞬間をみごとに捉える写真技術には敬服するが、やはり何らかの誇張やわざとらしさが感じられることも少なくない。写真も文章の記事に劣らない重要で有効な伝達手段・報道手段だから、ある意味当然かも知れないが、私たち受容側も常に一定程度の距離感と警戒心を、しっかり忘れずに眺めることが必要だと思う。
 常設展では、先ずわが国での新聞の歴史を、前近代から説き起こし、いかに権力と戦ってきたかを主張している。つぎにAI時代ともいわれる現代において、新聞というメディアがいかにあるべきかを問いかけ、かつ新聞の必要性を主張している。そして、新聞記者の仕事のプレゼンテーション、記事作成の体験コーナーなどで、新聞の理解を深めさせようと努力している。
 全般に、かなり工夫してわかり易い説明に努めていることが窺える。ただ、やはりメディアの情報提供側の論理、ある種の独りよがりの印象はどうしても根強く残る。
 私は、新聞というメディアを全面的には信用していないが、新聞記者が取材して提供してくれる情報は、やはり貴重で重要で必要なものであるとは思う。インターネットをはじめとして「情報化時代」となり、金を支払って紙で情報を購入するという行為がだんだん衰退しつつあることも現実である。新聞が、もっと本質的には新聞記者が、これからの時代をいかにして生き残り、良質な情報を私たち一般人に供給し続けることができるのか、新聞を供給する側も、新聞を購入する側も、ともに考え続けて判断して行動しなければならないのだろう。
 まずは「いかに権力と戦うか」というありふれたお題目だけにとどまらず、冷静かつ真摯に新聞の真実・事実の歴史を虚心坦懐に学び、振り返ってほしい。たとえば昭和初期のデマ拡散による鈴木商店倒産、太平洋戦争時の戦争礼賛の報道姿勢、敗戦後の従軍画家経験を理由とする藤田嗣治への理不尽な攻撃、1990年代の従軍売春婦問題の虚報、近年では森友・加計問題などの嘘と無駄、さらにごく最近ではコロナウィルス肺炎にかんする無意味なまでのから騒ぎ、など新聞がわが国の社会に甚大な害悪を与えたことの意味と経過を真剣に考えることが必須である。
 展示を観終わったあと、なんとも言えない複雑な気持ちになった鑑賞であった。

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